テント泊で、どこに行こうかと色々と思案していましたが、「そういえば、北アルプスばかりで今年は八ヶ岳に行ってない」と思い出し、10月最終の週末に八ヶ岳の天狗岳へ行ってきました。
日帰りでも行けるルートですが、今回はオーレン小屋にてテント泊してのんびり楽しもうという、贅沢な山行計画にしました。
因みにオーレン小屋のテント場は、コロナ禍以降予約が必要となり、公式サイトからWEB予約ができます。
便利ですね!!(オーレン小屋公式サイト)
今回ご一緒していただいたのは、私の山の師匠である「加藤 文太郎」Instagram→mpd0429_outdoorさん。
加藤さんと出会ったのは、私が初めてGWの涸沢カールに登った約3年前の雪山初心者の時でした。
当時、数回アイゼンをつけて歩いただけの超初心者が、雪の涸沢カールを見てみたいとの一心で挑んだ先には、予想外の悪天候。吹雪の中を歩き続け、なんとか涸沢のテント場まで辿り着きました。
夜半まで降り続けた雪のため、何度も雪かきをして過ごしましたが、明け方にはテントがすかっり埋もれてしまい、テント場から小屋へ避難する事にしました。
丁度、涸沢ヒュッテに逃げ込んだ時、横尾から吹雪の中をラッセルして登ってきた師匠、雪まみれになりながら入ってきたのを今でも鮮明に覚えています。
結局、大雪で雪崩の危険もあるとのことで、涸沢ヒュッテの玄関先で暖を取りながら一日中山の話で盛り上がり談話をして過ごしたのが師匠とのファーストコンタクトとなります。
それから、意気投合して何度か一緒に登るようになり、山歩きについて色々と教えてもらっています。
彼は10歳くらい私より若いのですが、山歴は30年近くと大ベテランです。
翌年のGWに涸沢もご一緒していただきました。(この時も高山病でヘロヘロになったなぁ)
思い出話しで前置きが長くなりましたが、今回の行程です。
桜平駐車場
利用した「桜平駐車場」は、車のナビでは途中までしか経路表示されません。「フォレストカントリークラブ三井の森」を過ぎて道なりに進むと、「唐沢鉱泉」と「夏沢鉱泉」の分岐があります。看板が立っているので、見落とさないように進めば大丈夫だと思います。
分岐からは、悪路で有名なダート道が続きます。車高の低い車ではちょっと難儀するような道で、すれ違いが困難な箇所もあり、初見で夜間に飛び込むのは勇気が入ります。
桜平駐車場は登山口から近い順に(上)(中)(下)があり、それぞれ20台、60台、80台の駐車スペースがあるので、日が上り明るくなる頃に到着するくらいでも大丈夫だと思います。
ただ、桜平駐車場(下)は、登山口からかなり遠くなってしまうので、広くてトイレのある(中)がおすすめです。
朝、5:30ごろに到着。結構のんびりきたので、もう少し混雑しているかと思いましたが、駐車場はまだまだ余裕があり、3割くらいの感じです。
準備をして出発します。
まず初めは、登山口まで10分ほど林道を歩きます。
10月も後半だというのに、思ったほど紅葉が進んでいませんね。
登山口ゲートに到着です。
約1ヶ月ぶりのテント泊装備なので、ここまてで少々疲れ気味(汗)
静かな苔の森を抜けオーレン小屋を目指す
ゲートを越えた後も、しばらく舗装された林道がちょいちょい続きます。
どうせなら、桜平駐車場までの道をもう少し舗装してほしい(笑)
堤防が見えてきました。
沢沿いの林道を進んでいき、何度か橋を渡り沢の左右を行ったり来たりします。
林道から脇に目を向けると、北八ヶ岳らしい苔むした森の風景が見られます。
「八ヶ岳」に来たなぁって感じです。
そうこうしているうちに「夏沢鉱泉」(標高2,060m)に到着しました。
駐車場からは40分ほどです。
朝早いので、軽食の営業はまだでしたが、メニューを見ると美味しそうなものばかり。(じゅる)
先ほどまで続いた林道とは打って変わって、登山らしい道が現れました。
とはいえ、整備がされていて特別危険な場所もないかと思います。
勾配の緩やかな山歩きが続きます。
これぞ、「THE 北八ヶ岳」といった景色。
最近は北アルプスばかり歩いていたので、この感じがたまりません。
木々の間から光が差し込んできて、苔の絨毯にコントラストを与えてくれます。
随所で立ち止まって写真を撮り始めるので、なかなか前に進みません。
この景色を一言でいい表すなら、「神秘的」といった言葉が一番ふさわしいかもしれません。
土砂崩れのあった場所。
景色も開けて休憩したくもなりますが、落石の危険性があるのでここで休憩するのは避けた方が良さそうです。
今日の苔!!
トレイルは林道から山道の装いに変化し、森も段々と深くなってきました。
この日は他のハイカーがほとんど居なく、静かーな山歩きとなります。
混雑した人気のトレイルでは、ペースの早いグループの方が後ろにつかれると、早く道をゆずらなくてはと気疲れしてしまいます。
特に北アルプス界隈だと、中々のんびりと歩けませんね。
「オーレン小屋」に到着です。
駐車場からは1時間半くらいでした。
とりあえず、受付を済ませてテントを設営することに。
この日のテント場は、予想外にガラガラでした。
天狗岳に向けて
予報では午後から小雪が降るとのことでしたので、そそくさとテントを設営し天狗岳へ向かうことにしました。
当初の予定では、天狗岳の後、夏沢峠を経由して硫黄岳にも行こうとしていましたが、そこは天候次第。
とりあえず、雲がかかる前に天狗岳に向かいました。
まずは樹林帯の中を歩いていきます。
しばらく歩くと「箕冠山」(みかぶりやま)に到着しました。
全く眺望がありません。
標識がなければ、ここが山頂かとわからないくらいの場所です。
とりあえず、先を進みます。
空の木々が低くなり、視界が開けてくると、空にはどんよりした雲が近づいて来ているのがわかります。
今日はダメかなぁ。。。
と、思った矢先、目の前に「根石岳」が見えて来ました。
この夏登った「双六岳より景色が良いかも」なんて声が聞こえてくるくらいの素晴らしい稜線が続いています。
根石岳、東天狗岳、西天狗岳を一望できる、この稜線の絵がたまらない。
少し稜線を進むと、現在工事中の「根石山荘」が見えて来ました。
ここからの夕日を見てみたいですね。
距離は短い稜線歩きですが、空に向かって登っている錯覚がして不思議な感じです。
山頂に到着です。
小屋から根石岳山頂までは15~20分くらいで、ちょっと地味な山ですが、ここからの眺望は最高です。
正面には「東天狗岳」と「西天狗岳」
後ろを振り向くと「硫黄岳」とその奥には「赤岳」が見えます。
せっかくの眺めなので、ここで昼食を取ることにします。
この贅沢な眺望に囲まれての食事は格別に美味い!!
それが、たとえコンビニで購入したパンだとしても。
食事を終え、まずは「東天狗岳」に向かいます。
根石岳からの下は、ちょっと切り立った岩場となっているので、慎重に進みます。
下った先には「本沢温泉」の分岐があります。
登り返しは、それほどの急登ではありませんが、ザレて滑りやすい登山道となっています。
山頂直下にちょっとした展望スポットがあったので撮影タイム。
この東天狗岳は、北八ヶ岳に位置してはいますが、間近で見ると「赤岳」みたいに岩がゴツゴツしてます。
黄色い部分は硫黄なのでしょうか。
景色を眺めていると、横で隠し撮りされている。
山頂直下は、尾根が痩せていてスロープが設置されていました。
ありがたい!!
「東天狗岳」山頂に到着。
先ほどまで晴れ間がのぞいていましたが、ガッスガスで眺望なしです。
次に「西天狗岳」を目指します。
上り返しはガレ場続きとなっております。
また、晴れてきました。
「西天狗岳」の山頂に到着。
先ほどの東天狗岳とは異なり、広い山頂でランチをするのに良さげな場所がたくさんあります。
少し休憩を取ったのち、予報通り小雪がちらついてきたので下山することに。
小雪からアラレに変わり、地面に積もり始めました。
風も出てきて冷え込みが半端ありません。
先ほどの根石小屋まで戻ってきました。
ここまでくれば、あとは樹林帯の中なので安心です。
風も出てきたので、硫黄岳はキャンセルしてテント場に戻ることにします。
テント場に戻りマッタリした後、夕食タイムです。
今回は、駐車場からテント場までが近いこともあり、久しぶりに鍋セットを持参して、冷え込む夜に最高のお供となる「おでん」にしました。
やはり、鍋物は温まりますね。
下山
明け方はかなり冷え込み、体感では-5℃を下回ったのではないでしょうか。
夜中には雪がテントに打ちつける音もしていて、朝起きたらテントは凍りつき、地面は所々白くなっていました。
ちょうどパレットの上に設営できたので、底冷えがなかったのは救いといえます。
とりあえず、お湯を沸かしコーヒーを飲んだ後、のんびりと撤収作業を始めました。
このあとは、下山するだけなので。
地面が凍結しているので、スリップ注意で下山します。
下界では10月の終わりだというのに、夏日が続いたりしていますが、とりあえず山は冬には向かっていることを再認識。
駐車場の近くまで下山すると、昨日よりも木々が色づいているような。
とりあえず、秋を満喫。
まとめ
久しぶりの八ヶ岳、初めての天狗岳登頂でしたが、思ったよりも優しい印象です。
駐車場からオーレン小屋まで2時間も掛からなく、そこからのルートも急登が続くわけではないので、初心者の方でも楽しめるコースかと思います。グリーンシーズンならテント泊デビューにもおすすめできます。
とはいえ、根石岳から東天狗岳のルートでは、鎖場などはないものの岩場の細い道があるので、くれぐれもご注意ください。
北八ヶ岳は原生林の森を整備された登山道を歩け、稜線や岩場もあったり、歩いていて本当に楽しい山だと思います。
この後は、ここ八ヶ岳も雪山シーズンに突入となりますが、12月ごろにはアイゼン歩行の練習で、いつもの北横岳にでも来ようと思います。
ではでは。