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HOKA Trail Code Mid GTX
近年、アウトドア活動への関心が高まる中で、トレイルシューズの選択肢も増えてきました。
今回、メーカーサイトでセールで安くなっていたので、HOKA Trail Code Mid GTXを手に入れてみました。トレイルシューズは、inov-8 ROCLITE PRO G 400 GTXに続いて2足目となります。
HOKAといえば、独自の厚底構造と優れたクッション性で有名ですが、Trail Code Mid GTXはそれに加えて、防水性やグリップ力、耐久性といったアウトドアに求められる要素を高いレベルで備えています。2023年にモデルチェンジをしたTrail Code Mid GTXは、ANACAPA 2 Mid GTXよりも軽く、よりスニーカーのような外観と感触を好むハイカーのために作られたトレイルシューズではないかと思います。
今回のレビューでは、このシューズの特徴や使用感について詳しく解説します。実際にハイキングで履いてみた感想を交えながら、その魅力と課題について深掘りしていきます。この記事を読み終える頃には、HOKA Trail Code Mid GTXが自分に合ったシューズかどうか、きっと明確な答えが見つかるはずです。
総合評価: 76
HOKA Trail Code Mid GTXは、アウトドアシューズらしいタフな見た目でありながら、洗練されたデザインが魅力です。重くて硬いハイキングブーツから逃れたい人には、Hoka Trail Code GTXはおすすめの一つです。快適過ぎるクッション性能は下りで威力を発揮してくれます。(まだ数回しか使用していないので耐久性は仮に70点とさせてください)
HOKAについて
HOKAは、2009年にJean-Luc Diard氏とNicolas Mermoud氏によってフランスで設立され、現在はフットウェアのグローバル企業であるデッカーズに所属し拠点をアメリカはカリフォルニア州サンタバーバラに移しています。ブランド名である「HOKA ONE ONE」は、実はニュージーランドのマオリ族の言葉で、“Time to Fly(さぁ、飛ぼう!)”を意味します。これは、アスリートでもある創業者がランニングシューズの本質を見直そうと、ニュージーランドの山頂でのひらめきから誕生しました。
出典: HOKA 公式サイト
デザインと特徴
HOKA Trail Code Mid GTXは、アウトドアシューズらしいタフな見た目でありながら、洗練されたデザインが魅力です。ランニングシューズの快適さとハイキングブーツの頑丈さを合わせ持つシューズです。
まず、ランニングシューズのような見た目を演出しているアッパー素材は、100%リサイクルテキスタイルを使用し、岩場などでの擦れによるダメージ回避のために施された、3Dスクリーンで仕上げられたドットプリントです。
デザイン上の最大の特徴は、SwallowTail™と言われる、後方に拡張されたヒールが様々な地形にフィットします。ツバメの尻尾に似たデザインには理由があり、両側がほぼ独立したサスペンションのように機能するという点でユニークです。ただ、唯一の問題は、特に下り坂になると、岩や根に引っかかる傾向があることです。
HOKA のシューズの多くには、ソールが前後で湾曲したメタロッカーテクノロジーを採用され、足運びをスムーズにする設計がされています。この構造により、ランニング時の正しい足運びを実現し、着地から蹴り出しまでスムーズなローリング運動ができるようになります。
アウトソールは、あらゆる種類の気象条件でトラクションを発揮するVibram Megagripを搭載。岩のトラクション用の柔らかいラバーと、泥や雪道でのトラクションを得るため深いシェブロン形状のラグを備えています。
シューレースは丸型のオーソドックスな仕様。ランニングシューズの物より太く、このシューズがトレッキング専用モデルだと物語っています。
また、後半2列のフックは丈夫な金属製となっています。
非常に厚みのある圧縮成形EVAミッドソールは、非常に安定しハイキングに適しており、サポート力のあるプラットフォームを提供します。一般的なハイキングブーツよりも格段にクッション性に優れ、足に伝わる衝撃を吸収してくれるおかげで、重量が示すよりも軽いように感じます。
ヒールカップは丈夫そのもので掴んでみても潰れません。踵まわりの剛性感を担保し、靴の中で足がズレることを防いでくれているのかもしれません。
トレイルでの使用感
履いた瞬間に感じるのは、「もう他のシューズに戻れないかも」
フワフワしたクッション性はチューインガムを踏みながら歩く感覚で、慣れれば病みつきになること間違いなしです。
足首周りのパッドがしっかりしていて、ミッドカットでも圧迫感がありません。また、つま先のボックスにスペースがあり、足指を自然に動かすことできます。ただ、最初にハイキングシューズからトレランシューズに変えた時、一番違和感があったのがコレで、足先のホールド感が皆無に感じて、靴の中で足が滑る感覚が抜けず、慣れるのに少々時間がかかりました。
サイズ選びについては、私の通常のハイキングサイズ(私の日常の靴のサイズより1サイズ大きい)で、とてもフィットします。
HOKA Trail Code Mid GTXを履いて、標高500–800m程度のトレイルコースを数回歩いてみました。コースにはぬかるんだ山道や急な岩場、乾燥した砂利道など、多様な地形が含まれていましたが、どの場面でも非常に安定した歩行が可能でした。
グリップ力
Vibram® Megagripソールは名前の通り抜群のグリップ力を発揮します。特に、湿った地面や苔の生えた石でも滑ることなくしっかりと踏み込むことができました。
一部、ミッドソールのフォームが露出している部分があり、シューズの耐久性が少し心配です。軽量化に役立ちますが、フルレングスのアウトソールよりは弱いかと思います。
クッション性
長時間の歩行でも疲れにくいのがHOKAの特徴。このシューズも例外ではなく、厚底ミッドソールが地面からの衝撃をしっかり吸収してくれるため、足裏への負担が少なく感じられました。特に下り坂では、このクッション性が非常に心強かったです。
SwallowTail™のところでも書きましたが、唯一の問題は、延長されヒールが岩や根に引っかかる傾向があることです。まあ、これも気をつけていれば問題にならないのですが、幅広のソールも加えて、「どこに足置こう?」と足運びに困ることがあり、テクニカルなトレイルでは慎重さを求められます。
防水性能
土砂降りの雨の中を歩いた訳ではありませんが、GORE-TEXなので問題ないでしょう。防水膜が足首の高さまで伸びています。これにより、Trail Code GTXは深い水たまりや小川の横断に対してより効果的になります。
ただ、防水性能を得た代わりに通気性は失われています。冬のハイキングなら快適でも、夏場では非常に暑く感じるかもしれません。実際、12月の奥多摩を歩いているとき、ちょっと足が蒸れると感じました。通気性があるGORE-TEXといえども仕方がありませんね。その点、今まで使用していたGORE-TEX搭載モデルのinov-8 ROCLITE PRO G 400 GTXの方は夏の縦走でも快適でした。
まとめ
歩くために科学されたHOKA Trail Code Mid GTXは、防水性・クッション性・グリップ力のすべてを兼ね備えたトレイルシューズです。カジュアルなハイカーや、クッション性を求めるULハイカーに適したハイキングブーツです。
また、従来のハイキングブーツで問題を抱え逃げだしたい方は、是非トレランシューズを検討してみてください。今回レビューしたTrail Code Mid GTXのようにGORE-TEX搭載モデルもあるので、気象が変わりやすい日本のハイキングにはピッタリかと思います。
これだけのクッション性能があれば、グリーンシーズンの縦走登山でもその威力を遺憾なく発揮してくれる事と期待が膨らみます。
最後にHOKA Trail Code Mid GTXの気になるポイントを挙げてみました。
価格 : HOKA Trail Code Mid GTXは高性能シューズである分、価格はやや高めです。ただし、その性能と耐久性を考えれば、十分な価値があると言えます。
通気性: 前述の通り、防水性を重視しているため、通気性に関しては多少の蒸れを感じることがあります。特に暑い季節や長時間の使用時には、通気性の良い靴下を選ぶなどの工夫が必要です。
サイズ感: サイズ感はやや広めの設計ですが、足幅が狭い方は少し余裕を感じるかもしれません。購入前に試し履きをおすすめします。