- Review -
Jindaiji Mountain Works / Hillbilly Pot
ハンドルレスのシンプルなデザインが美しいクッカー!!
大人気のJindaiji Mountain Works「ジンダイジマウンテンワークス」(以下JMW)のUL極めたアルミ製クッカー「ヒルビリーポット550&350」をご紹介。
「ヘラ絞り」という技法で、職人が一つ一つ手作りした軽量アルミポットです。
総合評価: 72
ヒルビリーポット550と350のルーツは、米国のハイカーでは古くから定番のアルミポット。彼らが焚火で使用していた「空き缶ポット」のオマージュを現代風にアレンジしたプロダクトで、どこか懐かしさあり素朴な感じとシンプルなモダニズムが程よくミックスされたクッカーです。
JMWについて
Hike,Bike,Fish & Life gear from Takao. シンプルで軽量なバックパッキング・ギアを東京の高尾にて製作しているクラフトギアメーカーです。 タープ、ハンモック、化繊インサレーションウェア等のULギアやバイクパッキング・ギア。そしてヘラ絞りによるアルミクッカーなど、バックカントリーで生活する為の衣食住。先人達から学ぶ温故知新。軸足はオールドスクール。そこから見える景色をJMWの道具たちと共に。
荷物をなるべく軽くするため、調理をしないでアルファ米やフリーズドライ食品、レトルト製品をメインに、チタンクッカーを湯沸かし専用にと割り切っていましたが、おかずは良いとして、主食となるアルファ米はどうも苦手で、色々なメーカーのモノを試してみましたが、食事と言うより「栄養補給」が目的になっていて、機械的に無理やり食べてる感じがしてました。
やはり、日本人として美味しいお米を食べたい!!
ストイックな登山を目指している訳ではないので、アウトドアで最高の景色を目の前にして、決して豪華ではないけれども美味しいご飯を食べて過ごしたい。
軽量・コンパクトになりたい欲が強すぎて、大事なことを忘れていた気がします。
問題となるのが、現在メインで使っているチタンクッカーは熱伝導性の低さから焦げやすいなどの特徴があり炊飯には向きません。
ネットで検索すると少数ですが「チタンでも普通にご飯が炊けますよ」という人もいますが、山の標高が上がると沸点も変わってくるので、火加減などがすごくシビアで一歩間違えばクッカーは焦げついてしまします。山行時に焦げついたクッカーは洗う事が出来ないのでどうにもなりません。
以前紹介した「不思議なめし袋」も使用したりしていましたが、20分近く煮込まなくてはならないので、ガスの使用量が半端ない。。。
そうなると、チタンクッカーよりアルミクッカー。
以前はアウトドアショップ売り場に並ぶクッカーの殆どがアルミ製でしたが、昨今バックパッキング用のクッカーとなるとチタンに駆逐されてしまいました。
しかし、ガレージブランドの方では原点回帰の現象でしょうか、チラホラと復活の兆しが見えてきています。
そんな中、美しさに一目惚れしたクッカーがありました。
職人が手作りするハンドルレスのアルミクッカー
それが、JMWの看板商品とも言える”ヒルビリーポット”です。
UL界では超有名なクッカーですが、現在も人気過ぎてなかなか手に入りにくい状態が続いています。
見た目の美しさと、ULライクなハンドルレスのデザインがクッカーのシルエットを際立たせ、フレア状のフチから続くなだらかな曲線には芸術品のような美しさがあります。
こちらのクッカーは、職人が一つ一つ「へら絞り」の技法を用いて製作しているため、少量生産でなかなか手に入りにくいのも頷けます。「へら絞り」は、1枚の金属板から作られているため、溶接跡がなく表面が滑らかに仕上がるのが特徴で、0.8㎜厚アルミを加工し、鍋底を厚底にして側面は軽量化の為に薄く製作されているとのことです。
ノンコーティングの柔らかいアルミ製なので、使っていると直ぐに変色したりしてしまいます。ラフに使ってベコベコにへこんで傷ついても、その傷一つ一つが年輪のように刻まれ、山行の思い出となるのは確かです。長く愛用して自分のカラーになっていくのも楽しみの一つかもしれません。
また、製品名となっている「550」と「350」は、実際に沸かすことのできる容量で、ほとんどのカップは摺り切り表記なので分かりやすい。
このクッカーで際に特徴的なのが、フレア形状のラインを崩すことなく内側に入り込むリット(蓋)で、ここでも職人の技術を感じさられます。
最近ULクッカーではリットが無いモデルもありますが、湯沸かしなど調理の効率を考えるとリットは必要だと思っています。(虫が飛び込んでくる防止にもなりますね)
また、クッカー本体が非常に柔らかいアルミ製なので、手で強く握っただけで歪んだりしてしまいますが、このリッドを使うことでポットの歪みを抑制してくれて意外と大事な存在となっています。
リットにはナイロン製の紐が穴に通してあり、熱くならず掴めます。
ここもULテイストがあり、ヒルビリーポットを特長づけるアイコン化しています。
付属でカーボンフェルトがついていましたが、別売りの"The Band”と呼ばれるシリコンバンドに変更しています。
とはいえ、シリコンバンドを取り付けても、熱くても火からクッカーを落とす時に素手で持つことはできませんでした。。。グローブをはめてつかむ時の滑り止めくらいに思ったほうが良いです。
いざ炊飯!!
詳しい検証とかはしていませんが、毎回割とすぐにお湯を沸かす事ができています。
今までチタンクッカーを愛用していたので、感覚的にそう感じるのはあるとは思いますが、アルミはチタンと比べて熱伝導率が優れ、鍋底で受けた熱エネルギーを素早く鍋肌から鍋全体までに効率良く伝える事ができているのでは無いかと推察します。
前置きが長くなってしまいましたが、本題の炊飯に入りたいと思います。
用意するのは、ヒルビリーポット550。クッカー炊飯ではお米1合に対して水200mlがベストな量になります。
そして、20分くらい浸水してお米が白くなっていたら火にかけます。(理想的な浸水時間は30分から1時間なので、あらかじめ準備しておくと良いかもです)
はじめは強火にして、そのうち湯気が出てクッカーの蓋がカタカタと揺れ出したら弱火にします。
クッカーの側で音を聞いていると中からチリチリと音がしてきますので、その音がなったら火を落とします。
お米を蒸らしている間に、ヒルビリーポット350でレトルトカレーなどを温めます。
大体10~15分くらい蒸らし、軽く混ぜて完成です。
ふっくらご飯の出来上がり!!
スタッキングも優秀
山行では、なるべく荷物を軽量化したい。
それぞれ重要視するポイントは違うので、ただ軽量化すればいいわけでもない奥深い世界ではありますが、日々、研究熱心なハイカー達により巧みなスタッキング術が発見され続けており、先人達の知恵を拝借してたどり着いたのが「山のうつわ」。
本当にピッタリで感動的です。
ヒルビリーポット350の直径は93mmなので、直径100mmのHillbilly Pot 550 には当然スッポリ。
一般的なセット物のクッカーは、マトリョーシカのようピッタリにスタッキングできるのが殆どですが、このヒルビリーポットの550と330では意図的にクリアランスを作ってくれています。ハンドルがない事とこのクリアランス=「遊び」があることによって、他社製品のクッカーとのスタッキングを可能にし、無限の拡張性を生み出すます。
ヒルビリーポット550の外側に山のうつわ(大)がフィット、350には小サイズがスタッキングでき、550に収納する事が出来ます。
木製なので温かいスープやコーヒーなどを入れて飲む時も手は熱くならず、飲み口にクチをつけてもチタン食器などと違い、「あちーっ!」とならずに済みます。
木製のうつわで食事が出来るのは本当に贅沢です。国産の栓(セン)の木を素地に使用し、こちらもヒルビリーポットと同様に職人が作り上げた逸品です。
山のうつわあるだけで食事が少しグレードアップし、贅沢なひと時を山で迎える事が出来ます。
グリーンシーズンなら、ガスではなくアルコールストーブのセットもいいですね。
TOAKS(トークス)のTitanium Alcohol Stoveはチタン製で20gと超軽量!!
特徴は、わずか5秒ほどで本燃焼まで到達する立ち上がりの速さを誇り、1回のアルコール使用料は30mlで大体11分くらい燃焼します。サイドバーナー式のストーブではないので五徳が必要ですが、こちらも軽量なMUNIEQ(ミュニーク) X-MESHを組み合わせてみました。
また、炊飯時に吹きこぼれがあるので、アルコールストーブの下にEVERNEW(エバニュー)のチタンマルチディッシュをトレーとして使用しています。
スタッフサックは、WANDERLUST EQUIPMENT(ワンダーラストエクイップメント)の「CUBEN ROUNDED BAG」です。
名前の通り、キューベンファイバー製のスタッフサックでサイズを指定して製作してもらう事が可能です。
ちなみに、こちらのスタッフサックの寸法は直径12cm、高さ14.5cmで製作してもらいました。納期は約2週間ほどで届きました。
お片付け
炊飯後のクッカーは、焦げ付きはないものの汚れがこびりついています。
登山の場合、洗剤を使って洗うことができないので、少量の汚れは持参したキッチンペーパーやウェットティッシュでふき取れますが、この状態であればスクレーパーがあると便利です。
このスクレーパーであらかた綺麗にした後、ウエットティッシュで拭き取れば綺麗になるので、ゴミを極力出さずに済みます。
使用しているのが、GSIのコンパクト・スクレーパー 。
「ダッチオーヴンやフライパンなどにこびり付いた食材をはがす小型のヘラ」とメーカーサイトには説明がありますが、小さいので、バックパッキング用のクッカーにも使え重宝しています。
まとめ
クッカー選びはこれで完成と思っていても目的が変われば道具も変わり終わりが見えません。
以前は軽量化と手軽さから、山では調理はしないと思っていたのに、、、
手持ちの物で工夫すれば何とかなるのに、、、
でも、仕方がないんです。
買わなければ満たされないのです!(笑)
探求の旅は、まだまだ続きそうです。