必要なものを軽量コンパクトにすることは、登山における永遠のテーマとも言えます。
衣食住の「食」の部分は、長時間鼓動する上でパフォーマンスにもつながる大事なファクターです。その食事を調理するクッカーについて、「クッカー沼」という言葉が存在するくらい、悩ましいものとなります。
色々とネット上で調べてみると、クッカーについてたくさんの記事がヒットしますが、ソロキャンプやソロ登山、UL系のネタが多く、登山に限定して2人で使用するクッカーとなると、情報は皆無に等しいかと思います。
クッカーの選定にあたって、まず、自分が何をしたいかということを明確にしなくてはなりません。
登山を始めた当初、クッカーに求めたのは、「沸かす」「煮る」「焼く」が出来ることを念頭に置き、トランギアの「ストームクッカーS」にプラスしてケトルを使用していました。また、冬場ではアルコールストーブの火力ではチョットつらいので、純正のガスバーナーにチェンジして使ってました。
このストームクッカーの良い点は、スタッキングが容易だということと、狭いテント内でもゴトク兼ウィンドシールドのおかげで、ひっくり返す心配がなく安定して使用できるということです。
しかし、登山を重ねるうちに、「焼く」という調理法が皆無であることに気づきます。一日行動して疲れているところでは、調理にかかる時間をなるべく最小にして、早く食事を行い栄養補給を済ませたいので、そうなると、フリーズドライのものが中心となり、あとは、お米を炊いたりするくらいです。
「沸かす」「煮る」に絞ってクッカーを見直せば、軽量化につながるのではないか?
そして、クッカー探しの旅、クッカー沼への扉を開きました。
候補は3つ
SEA TO SUMMIT (シートゥーサミット) 「アルファクックセット2.1」セット内容:ポット1.9L×1個 ボウル×2個 マグ×2個 重量:520g
MSR (エムエスアール)「アルピニスト2クックセット」セット内容: ポット2.4L×1個 ディッシュプレートS×2個 断熱マグ×2個 重量: 641g
GSI (ジーエスアイ) 「ピナクル デュアリスト HS」セット内容: ポット1.8L×1個 ボウル×2個 マグボウル×2個 カラトリー×2個 シンクを兼ねた収納袋 重量: 655g
最後まで悩みましたが、SEA TO SUMMIT「 アルファクックセット2.1」とMSRの「アルピニスト2クックセット」は、ガス缶がスタッキング出来ないということで、最終的に GSI 「ピナクル デュアリスト HS」が軍配に上がりました。
GSI について
1985年、ブリティッシュコロンビアからアメリカ西海岸沿いのサンディエゴに移住した兄弟によりGSI Outdoorsがスタートしました。 わずかなエナメルウェアとキャンプファイヤーアクセサリー製品の販売から始まったGSI Outdoorsは、野外用調理器具、食器、そしてアクセサリーへの販売を拡大させた事により、これまで以上に革新的な製品群の設計、製造、販売及びマーケティングの強化を続けていきました。 GSI Outdoorsが成長を続ける中、創業者のDon・Ian、そしてKathy兄弟は本拠地の移動を決断し、現在のワシントン州のスポケーンに移動しました。 優れた品質、そのテクニカルなパフォーマンス、革新的なデザインで知られた同社は継続して拡大し、そして何より、アウトドア体験を楽しもうという同社の姿勢が功を奏し、今日GSI Outdoors製品は世界中で販売されています。
出典: GSI Outdoor より
Overview
ピナクル デュアリスト HS
GSIのピナクルデュアルリストは、2人分の調理・食事をするための必要なものが揃っています。
ポットは耐久性のために硬化アルマイト加工されたアルミニウムで作られていて、内側には焦げ付き防止コーティングが施されているため、調理後の掃除がとても簡単です。
GSIのピナクルシリーズのクックウェアにはDuPont®(デュポン)社製のTeflon®(テフロン)Radianceという技術が使われていますが、それらはキャンプでの使用のために特別にテストされ合格した技術です。その秘密は特別に開発された表面コーティングにあり、熱の分散を促進して熱を均等に拡散することできます。さらに、厳しいコンディションに耐えるために3層ノンスティックコーティングが採用され、引っかき傷や摩耗への耐性についても前例のないレベルに達しているとのことで、アウトドア用の調理器具として、このテフロンコートを採用しているのは、GSIだけだと思います。
また、候補選びのところでも記載したように、ガスストーブと220gまたは110gのODガス缶を、付属のボウルやマグポットと一緒に収めることができます。
セットの内容
ピナクルデュアルリストHSは、バックパッカーを対象とした2人用の料理セットです。
- 1.8 L 硬化アルマイト加工アルミニウム、ヒートシンク付きテフロンコーティングポット
- 592ml断熱マグカップ、蓋付き
- 592mlボウル2個
- 2つの折り畳み式の「スプーン」
- シンクを兼ねた収納袋
Detail
ポット
ポットには、ステンレススチールハンドルブラケットが取り付けられています。まず、感心したのは、フルに水を入れてハンドルを持った時のこと。よくある軽量クッカーの華奢なハンドルでは、その重さでたわんだりして不安がつきまといますが、ステンレススチール製のハンドルは、水を満たした状態でポットを振り回しても問題ありません。(まあ、そんなことしませんね)
また、このハンドルは、ポットの蓋を押さえる役目も兼ねていて、上に押し上げロックすると、蓋が外れる心配はありません。
1.8Lのサイズは2人での使用には十分です。普段この容量の満水にしてを使用することはめったにありませんが、パスタを調理するときは大歓迎でした。また、ポットの内側に計量用の目盛りがエンボス加工されていますが、残念ながら、テフロンコーティングにより、数字が読みにくくなってしまっています。
DuPont®(デュポン)社製のTeflon®(テフロン)Radianceのコーティングは、明らかに他のノンコーティング・クッカーよりも加熱が速い印象があります。GSIは、「Radianceの3層コーティング、通常の鍋に比べて約30%早くお湯を沸かせ、同時に燃料を30%節約することが可能です。」と主張しています。また、GSIのコーティングのもう一つの利点として「ピナクル調理器具は湿らせた布だけできれいにできる!!」とGSIでは説明していますが、実際にそのとおりで、調理後の清掃は簡単に行え、ゴミの低減にもつながっています。
ポットの底には、GSIが「ヒートシンク技術」と呼ぶものがあります。これは、ストーブから放出される熱の多くを吸収して、ポットに熱を伝導する目的としたアルミニウムフィンのリングで、より速く、より燃料効率の高いとのことです。ただ、このヒートシンクのリングについて、ガスバーナーのゴトクが中途半端に小さい時、気をつけないと上手くはまらないず傾いてしまったりする恐れがあるので、ポットをガスにかける時は慎重に行う必要があります。
Detail
マグカップ
2つのBPAフリーのマグカップは、マグカップにしては大きく平らなボウルのようなものです。
私はこれでコーヒーを飲む気にはなれず、別にチタン製のマグカップを用意していますが、クックセットのスタッキングを考えた結果、こうしたデザインになったと言えるので仕方がないかもしれません。
Detail
ボウル
2つのBPAフリーのボウルは、マグカップに重ねてスタッキングできるのでスペースをほとんど占有しません。マグカップとは異なり、ボウルは目的のために良い形をしていて、とても手に馴染むのが好印象です。ここでも、GSIはぱっと同様にボウルにも計測用の目盛りをつけてくれていますが、半透明の素材のおかげでポットよりも読みやすいのは良かったところ。
Detail
スプーン
これは賛否両論あると思いますが、先割れスプーンよりも箸のほうが使いやすいので、セットから外しています。また、使っている時、なんらかの拍子にロックが外れてしまうこともあり、携帯性には優れてますがチョット不便なことも。
Detail
収納袋
これは、とても気に入っているところで、この収納袋はシンク(バケツ)としても使用することが出来ます。実際、山の上で洗い物をすることはありませんが、使用済みの汚れたカラトリーなどを一時的に入れたりするのに重宝しています。
Conclusion
結論
GSI ピナクルデュアルリストHSのクッカーセットは、比較的小さなパッケージで、頑丈なナイロンボウル、マグカップ、スプーン、ストーブと燃料といった、2人用の調理器具をパッキング出来る良くできた商品です。テフロンコーティングされた硬質アルマイトポットは、耐久性と掃除のしやすさを提供してくれます。