至仏山(しふつさん)の残雪期登山が4月18日に解禁され、翌日に早速登ってきました。
至仏山は、尾瀬国立公園の西に位置する標高2,228メートルの名峰。標高はオーストラリア大陸の最高峰のコジオスコとほぼ等しい。日本百名山のひとつで、夏には高山植物の宝庫として知られ、多くの登山者で賑わいます。
この期間しか登れない残雪期の至仏山に登れる貴重なタイミング。
例年より多い雪の中、眼下に広がる真っ白な尾瀬ヶ原を眺めながらハイキングを楽しむことができました。
以前、7月に歩いた尾瀬
期間限定の残雪期「至仏山」
今回は初の残雪期の至仏山。
冬の間は雪に閉ざされている尾瀬ですが、毎年4月後半に鳩待峠までの道路の冬季閉鎖が解除されると同時に、鳩待峠〜至仏山〜山の鼻の登山道も開通します。そして、GWを過ぎると、至仏山の植生保護のため登山道は7月の夏山開きまで再び閉鎖されます。
今年2025年は残雪期の至仏山登山ができるのは4月18日(金)~5月6日(火)期間です(鳩待峠から尾瀬ヶ原には普通に入れます)
詳しくはこちらから
また、この期間のみ夏山シーズンとは異なり、山の鼻から至仏山山頂まで登り方向という一方通行ルールがなくなるので、山頂から山の鼻に向かって下山するときは尾瀬ヶ原や燧ヶ岳を眺めながら歩くことができます。
そこで、今回歩いたルートは、期間限定ルートである鳩待峠から至仏山を目指し、山の鼻を回って鳩待へ戻ってくる時計回りの周回コースです。
眠い目を擦り尾瀬戸倉第一駐車場へ
東京を深夜3時に出発しました。
冬季閉鎖解除の翌日ということもあり、混雑を予想して早めに到着できるようにしました。
関越を進み沼田ICを降り、そこから真夜中のロマンチック街道を尾瀬方面へ向けて進みますが、駐車場がある戸倉温泉までは結構距離があります。
街道沿いには結構コンビニがあるので、行動食など足りないものは、この道中で調達ができます。
予定通り5時過ぎごろに戸倉第一駐車場へ到着。
この時間で半分くらいの駐車量でしょうか。まだまだ余裕がありました。
準備を済ませて乗合タクシー乗り場へ移動。
チケット販売機が一台しかないので、ここで30分くらい並びました。
鳩待峠まで片道1300円です。
乗合タクシーは次々と出発してくれるので、チケットを購入してからはとてもスムーズでした。
20分ほどで鳩待峠の駐車場に到着。
今年は例年よりも多く降った雪の為か、鳩待山荘の周りは雪の壁で覆われてました。
お手洗いと装備を整えて入山です。
雪はたっぷりあるのでスタートからアイゼン装着。
鳩待峠から入山
この日の予報では日本全国高気圧に覆われ夏日の予報でしたので、かなりの薄着。
足元はトレッキングパンツのみで、上はアミアミの上にポーラテックのパワーグリット・フリースのベースレイヤー。当初はシェルジャケットを羽織ってましたが、スタートしてすぐに脱ぐこととなりました。
登山口にコースの情報が記載されています。
朝日が出てきました。
まだ、この時間は動いていないと肌寒く感じますが、お日様が出てくると一気に体感温度が上がってきます。
木々の間から、これから向かう真っ白な至仏山が見えました。
天気はいいけど、これから進む稜線と至仏山には、ガスがかかっています。。。きっと晴れる!!
東京は桜も終わり春の装い真っ只中って感じですが、ここはまだまだ冬景色。
ブナ林のゆるやかな坂を登ります。
森林限界を抜けてくると尾瀬ヶ原や燧ヶ岳がチラッと見えてきました。
ここまでは、それほど急な感じのところはなく、のんびりアイクアップできます。
登山客よりも圧倒的にバックカントリーの方が多かったです。
割合的に7:3くらいのイメージです。
早朝なので雪もしまっていて歩きやすかったです。
また、地図ではピークの南側を巻くトレイルですが、雪道では北側を巻くようにトレースが伸びています。
なので、ヤマップのルート外れ警報がうるさかった。
先ほどまでガスに覆われていた至仏山がくっきり!!
ここで本日の勝利を確信しました。
でも、結構遠いではないかと心の中で呟く。。。
久しぶりに気持ちいい雪道を満喫。
振り返ってみれば、今シーズンは前回の「武尊山」や記事にしていない白駒池のスノートレッキングも悪天候ばかりだったので。
のんびり歩いているとオヤマ沢田代に出ました。
だだっ広い雪原なので悪天候時には迷いそうですが、ポールが有り難いですね。
まずは目指す小至仏山がもうすぐそこ。
小至仏山をトラバース、真っ白な至仏山へ
バックカントリー干される方々が上がっているのが見えましたが、私はパス。
前方の至仏山へ向けどんどん行きます。
右手に雪をかぶった山々が見えた。
前回のぼった武尊山かな?
小至仏山まではカツンと登る坂が何度か登場します。
ボード担いでる人たちは大変そう。
急登で息が上がりますが、この景色に癒されます。
ここが本日の核心部。
小至仏山のトラーバースルートとなります。
傾斜は大したことはないのですが、雪面で滑って落ちたら下までいきそうな感じで、岩とか木に当たったら大怪我すると思います。
ここは慎重にアイゼンをきかせていきましょう。
トラバース区間を過ぎたら、至仏山の山頂までは後少し。
「まだぁー着かない」と不貞腐れ気味(笑)
こうしてみると結構起伏がありますね。
山頂に到着!!
やったー。
開放的な広い山頂で、みなさんくつろいでいます。
山頂から見えるパノラマは、かなりいい感じです。
ちょっとした感動がここにはありました。
名残惜しいですが下山します
正面に尾瀬ケ原と燧ヶ岳を見ながらランチをとりました。
この日は最高に天候に恵まれ、とても穏やかな山頂です。
お茶も飲み充実の1時間。
本当に来て良かった!!
ランチを終えて山の鼻に向かって下山します。
最高の眺望で下山するのが勿体無いくらい。
残雪期限定の下山ルートをくだります。
夏山シーズンでは植物保護の観点で「登り専用」になっています。
なので、下山時に使えるのこの時期だけの「残雪期限定」。
限定。。。その言葉に弱い。
青い空に白い雪原。
何度も言わせてもらいますが「最高」です。
この時間になると雪もだいぶ溶けてきて、ズボズボと沈んで歩き難い。
ヒップソリで滑ったら早そうです。
結構降ってきましたが、腐った雪に足を取られだいぶ疲れました。
下れど下れど、たどり着かない(涙)
山の鼻まで、まだありそうです。
途中からヘロヘロになり、だいぶ時間がかかってしまいましたが山の鼻に到着です。
長かったぁー。
振り向くと至仏山。
トイレ休憩を済ませて鳩待峠に向けて出発です。
地図だと3Kmほどと出ていますが、最後は登りが待ってます。
また、夏道と違い谷を登ったり下ったりトラバースしたり、と単調ではないので、至仏山の下山時にやられたダメージの蓄積もあり疲れました。
無事、鳩待峠に到着しました。
最後はだいぶペースはダウンしてしまったので、かなり遅くなりました。
歩いた距離は10km、高低差850m、この後予定しているGW涸沢の予行練習になったのではないでしょうか。
帰りは、朝と同じ乗合タクシーに乗車して戸倉の駐車場に戻りました。
まとめ
初の残雪期の至仏山でしたが、ここは本当におすすめできます。
ルート上は危険な箇所はほとんどなく、小至仏山のトラバース区間がちょっと怖く感じるかもしれませんが、気をつけて歩けば問題ないと思います。
稜線、山頂から見えるパノラマビューは、どこを切り取っても最高の眺めでした。さすが百名山!
期間限定で2週間ほどしか楽しめないルートですが、チャンスがあれば、行くべき山だと思います。
冒頭、ウェアーの話をしましたが、悪天候でない限り厳冬期対策は不要だと思います。
慣れていればアイゼンなしのつぼ足でも歩けるかもしれませんが、トラバース区間もあるのでチェーンアイゼンや軽アイゼンがあれば安心です。
例年では雪が溶けて夏道が出ている場所もあるようで、脱着の容易なチェーンアイゼンを勧めている方もいますが、今回は前情報で雪が多いとのことでしたので、私たちは12本アイゼンで歩きました。この辺は事前に調べてから装備を決めると良いかもしれません。
また、ピッケルを出すような急斜面は皆無なのでストックがあると良い感じです。
ではでは。