今年のゴールデンウィークも北アルプスは「涸沢カール」に行ってきました。
これで5年連続となりますので、年末の白駒山荘スノートレッキングと同じ年中行事となっています。
今年は別の場所にしようかと、たとえば立山もいいかなぁなんで考えたりもしましたが、不思議なことに「やっぱり涸沢に行こう!!」となってしまいます。
ということで2025年GWの涸沢カールへと出かけてきましたので、その模様をお届けします。
涸沢に初めて訪れたのは2021年のGW。
まだ登山を始めて1年弱の時で訳もわからず、あれこれ詰め込み過ぎのザック(28kg)を背負い、吹雪の中を涸沢を目指してヘロヘロになりながら歩き、雪山テント泊を初経験。ULブームの昨今で30kg近い重量の装備って、頭おかしいと思われますよね (´゚ω゚`)

そして、一晩中降り続く雪のなか何度も起きてテントの雪を払ったりして、いま思うと、そんな体験をしてよく登山を続けているなぁ〜と(笑)
ただ、最初に過酷な経験をしておくと、ちょっとやそっとの悪天候でも「あの時に比べたら。。。」と思えるようになります。

そんな過酷な山行を経験したのに、その年の秋にふただび涸沢に向かってました。
そこでは、色鮮やかな紅葉と岩山のコントラストに目を奪われ、明け方のモルゲンに息を飲むような体験をして、益々ファンになってしまいました。

その時のレポート
昨年2024のGW涸沢山行については、バタバタしていてブログにアップするタイミングを逃してしまいましたので、ここで軽くご紹介します。
上高地からのアプローチで雨の中を歩き、現地に到着した時点で雨の中テントを張るのが億劫になってしまい、小屋泊に変更しました。(涸沢ヒュッテさん大変感謝しています)
翌日は稜線まで上がろうと予定していましたが、北穂沢からの全層雪崩の跡を見たらなんとなく気が乗らなくなってしまい、そのまま下山して松本市内の観光へ予定変更。
前々から行きたかった松本城を見たり、古き時代を色濃く残す商店が軒を連ねる縄手通り商店街で食べ歩きをしたり。
何度も訪れてはいましたが、はじめてゆっくり回ることができました。



食べ物は美味しいし、松本城などの史跡や雄大な自然に囲まれている、本当にいい街だなぁと思いました。
さて、前置きがダイーぶ長くなってしまいましたが、今回のルートはこんな感じです。
いつも通り、上高地から横尾を経由して涸沢までのルート。
そして、天候が良ければ稜線まで上がり、穂高山荘でラーメンを食べたいと思っていますが、残雪とはいえ3000m級の北アルプスの雪山なので、滑落や雪崩の危険がある急斜面を登るので、少しでも天候の状況が悪かった場合は中止にするつもりで入山します。
1Day: 上高地からスタート

GW前日、そそくさと仕事を終えて、2日間お風呂に入れなくなるので、湯船にのんびり浸かったり身支度を整えてから20時には東京を出発。
交通量はいつもより多いものの、渋滞に巻き込まれることなく沢渡バスターミナルの駐車場に到着です。
連休初日とのことで駐車場の混雑も懸念していましたが、深夜0時の到着時では7割程度の混み具合でしたので、ちょっと安心しました。
GW期間のバスの始発は5:00とのことなので、とりあえず車内で仮眠をとることにします。
若い頃は一睡もしなくても、翌日元気に行動できましたが(遊び限定)、最近は寝ないことには体が持ちません。

もう何度このトンネルを潜ったことでしょう。
「さあ、冒険の始まりだ!!」みたいな高揚感があります。

今回はバスのチケットもそれほど並ぶことなく購入できました。
運賃が若干上がってました。

ここで嬉しいニュース。
やっと、ここ沢渡でもクレカが使えるようになりました。
ずっと願っていたことが一つ叶った感じです。(グッジョブ!!松本市)

さあ、バスに乗り込みますよ。

それほど混雑はなく、2台目のバスに無事乗車。

アルプスの玄関口、上高地(標高約1500m)」に到着です。
ちょっとガスってますねぇ。

もうすでに多くのハイカーが出発準備をしています。
この時の気温は4℃でちょっと肌寒いかなって感じですが、歩き始めると暖かくなるので上は薄手のフリースを羽織るのみ。

みなさん、黙々と歩いています。
この時間は登山客がほとんどなのですが、ちらほらと観光客の方々も歩いています。(上高地に宿泊している方々の早朝散歩でしょうか)

そうこうしていると河童橋が見えてきました。
今年は梓川の流れが早く水量も多い気がします。

穂高連峰がうっすらと見えてきました。
これ見て、北アルプスに来たなぁって感じが出てきました。
やはり、何度来ても良いです。
とりあえず、皆がここでカメラを出して撮影する場所でお約束の写真撮影。

霧の中からモワッって浮き出る穂高連峰に感激。
梓川と穂高(これもお約束)
本日は、あの裏側まで歩くことになります。

河童橋から少し進むと小梨平です。
既に多くのキャンパーで賑わっていました。

霧の立ち込む幻想的な森の中。
小梨平からしばらくの間は整備された遊歩道を、小鳥の声を聞きながら進みます。

霧も晴れてきて、梓川の対岸には明神岳がドーンと見えてきました。

上高地バスターミナルを出発して約1時間、明神橋に到着です。
多くのハイカーがここで休憩しています。
約1年ぶりのテント泊装備を担いだので、ザックを下ろして肩を回したりして5分ほど休憩。

この明神館は映画「岳」の撮影でも使われた場所。
帰りの下山時に立ち寄ろうと思います。

熊の目撃情報あり(;゚Д゚)!

再び森の中を進んでいきます。
木々の間から朝日が刺しこんできました。
朝露に濡れた葉が日の光に照らされキラキラ光って綺麗でした。

下界では初夏の陽気となりつつありますが、この森は長い冬が今やっと終わり、遅い春がやっと訪れた感じです。

トレイルのあちこちにフキノトウが芽を出していました。
「美味しそう」→国立公園内なので採ってはダメですね。

先ほどまでの霧もすっかりなくなり青空が広がっています。

徳沢園に到着です。
明神からは1時間くらい。
昨年は工事していた公衆トイレが完成してました。
空調完備でとても綺麗です(新築だから当たり前か)

ここで以前テント泊したことあり、徳澤から蝶ヶ岳~蝶槍~横尾~徳澤と周回コースを歩きました。
確か北アルプスデビューの時だったと思います。
炊事場もあったりして、登山のテント場というより高規格のキャンプ場みたいな感じです。

徳沢園の横を流れる小川は、いつ見ても綺麗です。

その小川の流れを眺めながら、いつもの「コーヒーフロート」をいただきました。
本日は涸沢までなので、結構のんびりしています。

しっかり休憩をとった後、次は横尾に向けて出発です。
昨年まで護岸工事で通行止めだった右岸ルートが開通していました。

途中から、雪でトレイルが埋もれていたため、運搬用の道を進むことになります。

徳沢から1時間くらいで横尾に到着。
雪が結構残ってますね。
上高地から約3時間で横尾に到着となります。
1Day: 横尾から涸沢へ

横尾で小休止した後、まずは本谷橋に向けて進みます。
この橋を渡ると本格的な登山が始まります。
この先は涸沢まで水の補給はできないので、ここの水場で補充しておきます。
最悪、雪を溶かして浄水フィルターを使って確保することもできますが、雪を溶かす手間がかかります。
ここから涸沢まで3時間くらいかかるので、1リッター以上あったほうが安心ですね。
余談となりますが、上高地からの道中の会話で、今年は例年と比べてハイカーの方が少ない感じがしました。
数年前、ここ横尾も賑やかさがありましたが、今年はとても静かな印象です。
ここで、最近流行りのGoogle AI君に「登山ブーム終焉?」ついて聞いてみました。
肉体的負担: 登山は、体力が必要な行為であり、単なる趣味やファッションとして楽しむだけでは過大な負担になっている。
山岳遭難リスク: 登山には、道迷い、転倒、滑落など、様々な危険が伴うため敬遠され始めている。
物価高の影響: 世界的な物価高は、登山用品や交通費の増加にも繋がり、登山を敬遠する要因ともなっています。
情報番組でGWの過ごし方みたいなインタビューをやってましたが、大半の方が物価高でレジャーは近場で済ませるみたいなことを言っていたので、3つ目の要因が大きいのではないかと推察します。
たたし、確実に海外からの登山客は増えている印象です。
特に北アルプスは外国人客にも人気が高い山域のようで、あちらこちら外国語が飛び交ってました。
以前は中国の方が多かった感じですが、最近は東南アジア系の方が目立っています。
素晴らしい日本の山々を多くの人に体験してもらいたいですね。

横尾を出て歩き始めるとすぐ屏風岩が見えてきました。
今年は屏風岩にも雪がまだ残ってますね。

横尾大橋を渡ってから30分くらい歩くとトレイルが雪で真っ白でした。
ここでアイゼンを装着することにします。
そのまま歩けなくはないと思いますが、滑って怪我するのも嫌なので面倒がらず安全第一で。

本谷橋までやってきました。
事前に調べた情報どおり本谷橋は雪で埋まってます。

橋にはロープのみ張られています。

ここで栄養補給も兼ねて小休止します。
登山では長時間動ごき続けるため、日常生活に比べて比較にならないほどのカロリーを消費します。きちんとした食べ物をとらないと血糖値が下がり、全身に力が入らなくなり動けなくなってしまいます。
「ハンガーノック」というやつですね。
ハンガーノックとは、体内の糖分(グリコーゲン)が不足し、血糖値が急激に低下することで起こる状態です。症状としては、空腹感、脱力感、眠気、震えなどが挙げられます。重症化すると、意識を失うこともあるそうです。
登山では、こまめな水分補給と栄養補給は大事です。

夏道ではなく、横尾谷に積もった雪の上となる谷筋を進みます。
ここから本格的な登りスタートといった感じです。
4年目にして初めての沢の上を歩く冬季ルート。

一歩一歩足を前に出し、ジリジリと標高を上げていきます。
テント泊装備のザックが肩にずっしりのしかかってきますが我慢です。

ひたすら登ると、穂高の山々が!!
涸沢ヒュッテの旗も遥か彼方に見えてきました。
しかし、喜んではいけません。ここからが本当に長い。。。
過去の経験から学んでます。

みなさん上を見上げることなく、黙々と歩いています。
例えるなら修行場と化しています。

涸沢ヒュッテとテント場に向かう分岐まで来ました。
いつもここで、右か左かで迷うのですが、きっと左のヒュッテへ向かうルートの方が楽なのではないかと思います。
で、左に行きます。
ここからが地味に辛い(笑)

涸沢ヒュッテに到着しました!!
先ほどまで良いお天気だったのですが、なんかガスってますね。

画像ではお伝えできませんが、上空は風が強く雲がものすこい勢いで流れていきます。
稜線上はすごい突風が吹き荒れていそうです。

腰を下ろしてゆっくりしたいのは山々ですが、とりあえず、テントを張ることにします。
居抜き物件がないかと探してウロウロしていると、以前、涸沢でお会いしたのがきっかけにその後いろいろお世話になっている加藤文鳥さんと偶然の再会。なんと、前日から涸沢に入っていたとのこと。
まさかここでお会いするとは思っていませんでした。
結局、良い場所がなかったので、自力で整地をすることに。
文太郎さんにも手伝っていただいたので、すごく早かったです。
テントは昨シーズンから使い始めたSamaya(サマヤ)のテント。
フランス人クライマーであるギランとアーサーが創設したブランド「Samaya」は、2020年の登場から2年連続でISPOのアワードを獲得していて、2人用4シーズンテントとしては軽量の1.2kg。その秘密は独自開発素材の3レイヤー透湿素材と軽量高強度のDyneema素材をふんだんに使用したテントです。
過酷なアルパイン環境での使用話想定して、耐風性能は時速120kmでテスト済みとのこと。また、長辺側に扉があるので、涸沢のようなパノラマビューが楽しめる場所にはうってつけのテントです。もう少し使用してみてレビューを書いてみようと思ってます。(Samayaの公式サイト)
1Day 涸沢カールにて

テントを張り終えて、フュッテにて再会の乾杯。
普段お酒は飲まないのですが、この時ばかりはビールが美味しく感じます。
名物のおでんをつつきながら明日の行程を確認。
今晩は大荒れとなり、雨や雪を伴う暴風になるとのこと。もしかすると明日は表層雪崩の危険があるかもとのことですが、条件が良ければ穂高山荘を目指して涸沢岳と言う事で意見がまとまりました。

夕方になり風が出てきてすっかり冷え込んできました。
夜には風が強くなるとの事前情報でしたので、みなさんテントの周りにスノーブロックを積み上げてました。
クッカーを取り出して、夕飯を用意したりして食事を取りながら夕焼けも期待していましたが、よくわからないうちに日が沈んでしまいました。

シュラフにもぐりこみ寝落ちすると、夜半ごろテントに吹き付ける風の音(爆音)で目を覚ましました。
おそらく風速20m以上はあったと思われ、谷底からゴォーゴォーと風の音が聞こえ、その数十秒後に雨や雪とともにテントに直撃すると、テント側面が顔の前まで迫ってきます。迫り来るテントを足で防いで再び寝落ち。
これが一晩中続いてましたが、疲れていたので2、3度目を覚ましたくらいでしたが、翌朝他のハイカーさんの話を聞くと「一睡もできなかったぁ」なんて方もいました。

朝起床すると風はまだ強く吹いていて、稜線もガスで覆われています。
さて、どうしたものか?
続く






