2021年9月22日〜24日、夏山も終わり秋の気配を感じさせる「北アルプス・涸沢カール」に行ってきたレポートです。
二泊三日の行程で、二日目は奥穂高に挑みます。
今回お送りする前編では、涸沢までの行程をご紹介します。
Overview
涸沢カール
北アルプス・穂高連峰に囲まれた「涸沢(からさわ)カール」。登山口である上高地から15㎞離れた場所に位置し、「カール」とは、氷河の浸食によって削り取られた地形で、切り立った岩峰に囲まれ、雪景色や紅葉など季節によって移り変わる絶景は、北アルプスに留まらず日本を代表する山岳風景と言えるでしょう。
涸沢カールは約2300M、周囲3000M級の山々がそびえる日本最大級のカールです。
ここから、北穂高岳・奥穂高岳・涸沢岳を登山ときのベース基地ともなっており、「涸沢ヒュッテ」「涸沢小屋」といった2軒の山小屋の他、シーズン最盛期には1500張り以上のテントが並ぶ幕営場があります。
行程
1Day: さわんど温泉駐車場から上高地までは始発のバスで移動。上高地1505Mから横尾までの平坦なトレイルを歩き、本谷橋から一気に標高を上げて2,300Mの涸沢カールを目指します。
2Day: 日の出とともに涸沢カールのテント場を出発し、涸沢小屋、ザイテングラートを経由して穂高岳山荘(白出のコル)へ登り、3190Mの奥穂高岳を目指します。
3Day: 朝食をテントで済ませたあと涸沢カールからゆっくり下山。横尾〜徳沢〜明神と、初日のコースを戻り上高地のバスターミナルへ移動します。
Report
1Day: 上高地から涸沢カールへ
ブログには上げていないのですが、5月にも涸沢カールへ訪れていました。このときは、季節外れの大雪に見舞われて、一日目の早朝には、振り続けた雪でテントが埋もれてしまう有様となり、二日目の早朝にはテントを撤収し涸沢ヒュッテに退避。予定では涸沢で二日間のんびりバカンスを楽しもうと思っていましたが、、、結局、雪が収まるのを待って下山するはめになってしまい、今回は、その時のリベンジのための山行です。
自宅を出て、いつものさわんど温泉駐車場と向かいます。
仕事も忙しく、前回の「北アルプス 常念山脈縦走」から約2ヶ月まったく山登りに行けなかったため、久しぶりのテント泊にちょっと不安があります。
時刻は夜中の3時、シルバーウィーク後半のこの時間となると満車かも。。。と、ドキドキしながらバスターミナル近くの駐車場に向かいましたが、予想とは裏腹に閑散とした駐車場に拍子抜けしました。
とりあえず、始発のバスまで仮眠を取ります。
外界では半袖でも過ごせる9月末、ここ上高地の早朝は、空気がひんやりしています。
2ヶ月ぶりの山行で、テント泊装備が肩にズッシリのし掛かってきます。今回も安定の20kg超えザックです。
なかなか身体のエンジンがかからず、のらりくらりとなんとか明神館前までやってきました。
既に多くの登山客が休んでいます。
明神館のお店のところに「イワナ焼き定食」の張り紙があり、川魚好きとしては、いつく食べてやろうと思って入るのですが、タイミングが合わずにスルーしてしまってます。
行きの徳沢園はスルーして、横尾までは林道のようなトレイルを進んでいきます。
徳沢から横尾までのコースタイムは1時間くらいですが、景色も森の中でずっと変わること無く、ちょっと退屈な時間です。
写真を撮ったり鼻歌を歌って退屈を紛らわせながら平坦な道を進んできましたが、横尾に到着です。
ここからが登山本番となります。
横尾を過ぎてから、景色も変わり登山らしくなってきます。ウォーミングアップがてらの比較的緩やかな登りが本谷橋まで続きます。
横を見ると屏風岩がドーンとお出迎え。沢沿いを進んで行きます。
「本谷橋(ほんたにばし)」に到着です。多くの方がこちらで休憩されていました。
ここから先、一気に標高を上げる道のりとなるので、休憩と身支度を整え先を急ぎます。
上高地からは薄曇りの天気でしたが、本谷橋を過ぎてSガレ付近からポツポツと雨が降りだしてきたので、ジャケットを着込みザックにカバーを掛けました。そして、雨脚はどんどん強くなり、涸沢に到着した頃には本降りとなってしまいました。
横殴りの雨が吹きつける中、テントの設営わ行いましたが、ローカスギアのワンポールテントなので、ササッと設営を済ませテントの中に潜り込みます。
しかし、またしても涸沢の洗礼を受け、雨は時間と共に雷を伴う雷雨となり、テントの中から一歩も出れない状況が続きます。(お手洗いにいきたい。。。)
フロアレスのテントで、下の隙間から吹き込む雨はポールの高さを調整し最小限に留めることは出来ますが、あまりにも短時間で雨量が多いときの浸水にたいしては、本当にお手上げです。
あたりが暗くなり日が完全に暮れた頃、強まる雨の中どんどんテント内が浸水してきて、周りは川のように水位が上がっています。テントの脇に溝を掘ったり、フロアシートの端を折り曲げバスタブ上に加工してしのいでいましたが、そのフロアシートからも浸水が始まってしまい、かろうじてマットの上だけが安全な居住空間となってしまいました。
タオルでフロアに浸水した水を吸い上げテントの外に出す作業を何百回繰り返した頃でしょう、なんとか雨は弱まり落ち着きを取り戻しました。
そして、翌朝は山々が真っ赤に染まったモルゲンロードが見ることが出来、自然の厳しさと美しさを体験。昨晩の雨が嘘のように山々が輝いています。
後編に続く
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