2021年9月22日〜24日、夏山も終わり秋の気配を感じさせる「北アルプス・涸沢カール」に行ってきたレポートです。
二泊三日の行程で、二日目は奥穂高に挑みます。
今回お送りする後編では、涸沢から奥穂高岳と三日目の下山の行程をご紹介します。
もしよろしければ、こちらもご覧ください。
前編はこちらから
Report
2Day: いざ奥穂高岳へ
昨晩は雷雨の中、テント内の浸水と格闘していましたが、夜半すぎには雨も収まり、その後は朝までぐっすりと寝ることが出来ました。そとて、目が覚めると昨日の嵐は嘘のように晴れ渡り、最高の晴天に恵まれモルゲンロートも綺麗に!!
穂高連峰が赤く染まる様は圧巻です。
この日の目的地は奥穂高岳山頂です。
ここから先はテント泊装備が不要なため、アタックザックに水や行動食を詰め替えます。また、岩場を登ることもあり、落石から頭を守るためヘルメットは必須となります。(たしか、小屋でヘルメットのレンタルも出来たはずです。)
涸沢から奥穂高岳までの道のりを説明すると、キャンプ地から見える涸沢小屋まで移動し、横にある分岐からひたすら上に登るだけです。ザイテングラードという尾根を登り切ると、標高 2,983Mの白出のコルに出ます。その場所には穂高岳山荘があります。
ちなみに、ザイテングラートの語源は、ドイツ語の「Seitengrat」で、英語だと「Side ridge」、日本語へ直訳すると「支稜線」「支尾根」「側稜」となります。
穂高山荘から奥穂高岳への核心部は、高度感のある高さ50mほどの岩壁の登りです。 ここを登りきると稜線に出て、比較的なだらかな岩陵を登ると奥穂高岳山頂へ到着します。
涸沢カールの標高は約2300mで対する奥穂高岳山頂は3190m、今回はこの差約790mを登らなければなりません。
また、ザイティングラートでは、滑落事故が多く発生していると聞きます。浮石に乗り足を踏み外して滑落したり、落石を避けようとして滑落など原因は様々だと思います。特に下山時は、体力的にも疲労がたまり足の踏ん張りが効かなくなって事故につながるものと思われます。
たまにヘルメットを装着しないで岩場を登っている方を拝見します。中高年(ベテラン)の方が多く、後ろに着かれると、こちらとしては、気をつけていても落石させてしまう恐れもあり、ほんとうに気が気でありません。煩わしいと思われるかもしれませんが、周りの方への気遣いとお考えいただき、ぜひお願いしたいと思います。
朝食をテント内で済ませ、念願の奥穂高岳に向けて出発。
山肌は少しずつ紅葉が進み、もう少し時期を遅らせると紅葉最盛期を迎えるかもしれませんが、これでも充分です!!まさしく、涸沢カールは日本屈指の紅葉スポットといえます。
雄大な景色を眺めながら、意気揚々と涸沢小屋から登り始めます。
テント場から見ると、そそり立った岩山に圧倒されますが、登山道は良く整備されており、とても登りやすいルートです。
見どころが沢山で、立ち止まっては振り返りを繰り返してしまいます。
そんな調子で登っていましたが、歩いていると妙に心拍が上がり過ぎてしまいます。ペースを落としてもそれは変わらず、そのうち物凄い倦怠感と吐き気に襲われるようになってきました。
いずれ、治るだろとうゆっくりしたペースですすみましたが、ザイテングラードの取りつきに到着した頃は、気温も低くないのに寒気からガタガタと震えが止まらずジャケットを着込む始末。血の気も引いて顔面蒼白だったみたいです。
これって高山病?
とりあえず、無理して迷惑かけてもいけないので、ここで引き返す事にしました。
まあ、遊びで無理してもしょうがないし。
無理して人に迷惑かけるのも良くないし。
また来る理由が出来たと思えば良いし。
山は逃げるわけではないし。
でも、まあ悔しいなぁ。。。
気を抜かず、のんびりと下山を開始。
涸沢のキャンプ地に戻る頃には体調もだいぶ回復してましたが、これは高山病なのでしょか?
テントに戻ってからは、涸沢小屋で名物の"もつ煮"を食べたり、涸沢ヒュッテのテラスでノンビリとランチをしたりと、前回、大雪の為に出来なかった事をして、この日は涸沢カールを満喫しました。
マッタリ(*´-`)するだけでも良いところです。
この日は、昨日と異なり続々と涸沢入りする方が多く、朝ガラガラだったテント場は、どんどんとテントで埋め尽くされ、夜には結構な数のテントが並びました。
Report
3Day: 下山
朝5時に起床して、テント内で朝食を済ませてからテントを撤収。涸沢カールを後にして下山を開始します。
気持ちの良い青空の下、色づいたナナカマドなどを眺めながらノンビリ(´∀`=)上高地を目指します。
その後、本谷橋で休憩を取り、横尾を目指します。
そこからノンストップで進み、徳澤にて名物のソフトクリームを食すことに。横尾からここまでは、このソフトクリームのことだけを考え単調なトレイルを走破しました。
梓川のトレイルを進むと、焼岳が見えてきましたが、この日は残念ながら雲がかかっていました。
徳沢からも相変わらず単調で長い道のりが続きますが、かっぱ橋まで来ると観光客の多さに、「帰ってきたな」という実感がこみ上げ、なんとなくホッとする瞬間でもあります。
この日は連休の後半戦、晴天に恵まれていることもあって、大変に賑わっていました。
Conclusion
終わりに
5月にも訪れた涸沢ですが、季節が変わると全く別の顔となり、本当に綺麗な場所です。この紅葉時期に毎年訪れる方もいると聞いていますが、実際に行ってみるとわかる気がします。
涸沢までの行程の中では、特に危険な場所もなく気軽に行ける人気の絶景ポイントではないかと思いますが、標高2,300Mの幕営地では天候も変わりやすくリスクもありますので、それなりの装備が必要だと思います。(実際に強風でテントが飛ばされる方も拝見しました。)
初日は悪天候で大変でしたが、その後は朝日を浴びて真っ赤に染まった穂高連峰や紅葉で色づいた山々を見ることが出来、いろいろな顔の涸沢をゆっくりと満喫しました。
奥穂高は、またこんど必ずリベンジします。