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River Side Rambler "RSR Stove 2nd"
今回はRSR(River Side Rambler)という国内ガレージブランドから発売されているアルコールストーブを手に入れたのでレビューをしていきます。
数年前のキャンプブームに乗って、中華系ブランドや国内外のガレージブランド、自作派の方々多くがアルコールストーブを世に送り出していますが、「アルミ合金削り出し」「トルネード燃焼の高火力」などのキャッチコピーで彗星のように現れたRSRのアルコールストーブ。年々バージョンアップされ現在は2ndモデルとして販売されています。
総合評価: 74
アウトドアの過酷な環境で重要なのは、一人が一回分の食事に必要とする湯を確実に手に入れることを目指し、壊れず、コンパクトに収納できる道具であること。そのコンセプトを具現化したのがRSR Stoveとなります。
River Side Ramblerについて
「WHEN EXPLORING HEADWATERS.」整備された登山道をはなれ杣道やけもの道、あるいは藪をかき分け川に降り立ち、野生の渓魚イワナを狙う源流フライフィッシャー。魚影をもとめ滅多に人が立ち入らないポイントに辿りつくためには日帰りは難しく野営装備が必要ですが、野営道具一式を背負い釣りをしながら安全に移動をするためには装備の厳選は欠かせません。“源流野営に適した最低限の装備”それがRSRの源流野営ギアの開発コンセプトです。
出典: RSR 公式サイト
購入の理由
前回のレビュー記事で「山での炊飯」をテーマにクッカーの見直しを行いましたが、メインの火器はガスストーブで構成していました。着火が簡単で、火力が強く調整もしやすいため、気温が低い高山環境でも安心して使えて調理が可能です。
しかし、早朝のテント場でガスストーブに火をつけると、けたたましい燃焼音が響き渡り、澄んだ空気の静寂なその場を騒音で汚してしまいます。
ガスに比べたら確かに火力が弱く風に弱い、メリットと言えば軽量コンパクトであることくらいのアルコールストーブですが、性能以外の部分に魅力を見出す、遊びの部分が大きい『ロマン枠』としての道具です。
そもそも、アウトドア自体「遊び」であるのだから、効率以外の遊び心が道具にあっても良いはずです。
そうした思いの中、夏場はテント内で調理する機会も少ないので、アルコールストーブを持ち出す機会が多いのですが、以前のレビューで紹介したTOAKSのアルコールストーブでは火力調整ができないので炊飯には不向きとなります。

そこで、キャンプ時代から愛用していたトランギアのアルコールストーブを引っ張り出してきてみました。
北欧スウェーデンの老舗アウトドアブランド「トランギア(Trangia)」が手掛けるアルコールストーブは、シンプルながら信頼性の高いギアとして長年愛されてきました。中でも「TR-B25」は軽量かつコンパクト、無駄のない真鍮製の本体で、登山やキャンプなどのシーンで活躍する名作です。
消火蓋や火力調整リングが付いているので炊飯にはもってこいの火器となるのですが、一つ難点として本体重量が約110g(フタ含む)もあるという事と、他のアルコールストーブと比べて火力若干弱い。
火力調整ができて軽量なアルコールストーブはないものかとリサーチしていて、見つけたのがRSR Stoveでした。
以前から気になってはいたのですが、それほど必要に迫られていなかったこと、品切れ中でなかなか購入することができなかったことの理由からですが、ふとサイトを見てみるとAmazonで『在庫あり』になっていたので、此処ぞとばかりに購入。(公式ストアはYahooショッピングサイトです)
RSR Stove の細部を見る
こちらのストーブは消火蓋・火力調整リング・収納袋がセットとなったものを購入しましたが、それぞれ単品購入も可能です。

アルコールストーブの本体重量は33g、トランギアのそれと比べると重量は約1/3でかなり軽量です。
軽量・高火力で有名なエバニューのチタンアルコールストーブ(36g)と比べても、その軽さが際立ちます。
また、アルミ合金削り出しの本体側面は鏡面研磨されていて美しいの一言。
部材はアルミ合金ですので、傷がつきやすいとは思いますが、その傷一つ一つが歴史を刻み込んでいき、自分色の道具に染め上げていく楽しみがあります。

上部に開けられたアルコールの噴き出し口も寸分の狂いなく開けられております。
惚れ惚れしてしまいます。

本体底面は、アルミを削り出した時の切削痕をそのままのこしていて、中央にはRSRの刻印がされています。

本体に火力調整リングを乗せてみました。
合わせ目は隙間一つなく製作精度の高さを物語っています。

その上に消火蓋を乗せたところです。
工芸品、芸術作品といっても大袈裟ではない美しさです。

トルネード燃焼を体験してみる
外気温で違いは出ると思いますが、室温26℃で着火すると30秒ほどするとトルネードの炎が巻き起こります。
結構早い方だと思います。
市販アルコールストーブの中では最強ランクの火力&安定性を誇るとのことで、実際にトランギアのアルコールストーブと比べるとRSR Stoveのトルネード燃焼は赤火が殆どありません。

五徳として用意したのが、こちらも以前のレビュー時紹介したVargoのヘキサゴンウッドストーブと新たに加えたMarupeinetのTRIANGLE TRIVET TITANIUM。
アルコールストーブは風にめっぽう弱いので、野外で使用するにはしっかりした風防が必須となります。
軽量なMUNIEQ の X-MESH STOVEも使用してみましたが、不整地な場所では安定性に欠けてしまい、クッカーを乗せて火をかけているときにだいぶ気を使ってしまいます。

そこで、ヘキサゴンウッドストーブを風防・五徳として使用し、小さなクッカーを乗せても安定するようにMarupeinetのTRIANGLE TRIVET TITANIUM(通称T3)を使用します。

「ヘキサゴンウッドストーブ」を五徳として使っている方なら経験があるかと思いますが、マグカップや小さなクッカーを置くには直径が微妙に足りず、モヤモヤされている方も多いかと思います。そんなジレったさを解決してくれるのが「T3」です。
組み立てた状態はこんな感じです。

RSR Stoveをセットするとこんな感じで、クッカーとの距離感はいい感じです。

実際に着火してみると、炎も変に広がらずクッカーを効率よく加熱してくれます。

まとめ
山で炊飯するためのアルコールストーブとしてチョイスしたのが、火力調整リングがあるRSR Stove。
最大のメリットが、33gと他のアルコールストーブと比べても軽量で、5cmほどの小ささの本体。そしてトルネード燃焼による非常に強い火力が本当に素晴らしいです。
また、ガス器具とくらべてシンプルな構造なので故障が少ないというのは大切です。特に登山では火器が使えなくなるというのは致命的で、命に関わる危険性もあります。
最後にRSR Stoveのデメリットといえば、アルコールストーブとしては高価なこと。
Amazonなどでは中華製で数千円なんてものもあったり、手先の器用な方なら空き缶から自作もできるもので、1万円近くするのは多くの方が購入を躊躇してしまう価格と言えるかもしれません。
ただ、実際に手に取ってみれば、その製品としての完成度に価格にも納得いくはず。


