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ALTRA "OLYMPUS 6 HIKE LOW"
最近ハイキング用のシューズを新調しました。巷で大人気のアルトラ・オリンパス6です。
初めてのローカットモデルで、ハイキングではミッドカットモデルしか履いたことがなかったので少々不安もありましたが全くの杞憂で終わりました。
今更ここで語ることがないくらい有名なアルトラシューズの特徴は、「ゼロドロップ構造」と「フットシェイプトゥボックス」の2点に集約されます。
まず、「ゼロドロップ構造」とは、つま先とかかとの高さの差がない設計のこと。これにより、自然な姿勢と走行フォームが促され、足本来の動きを引き出すことができ、特にトレイルランニングでは、着地時の安定性が向上し長距離でも脚への負担を分散させる効果が期待されます。
次に「フットシェイプトゥボックス」は、足指を自由に広げられるような形状で設計されたシューズのつま先部分です。これにより、長時間の走行やテクニカルな路面でも足指の動きが制限されることなく安定性と快適性が大きく向上します。足の疲れやマメの発生を抑えるという点でも、多くのランナーやハイカーから高評価を得ています。
また、アルトラのシューズにはクッション性のバリエーションが豊富で、軽量性を重視したモデルから、ウルトラディスタンス対応の厚底モデルまで揃っており、用途や路面状況に応じて選ぶことが可能です。アウトソールのグリップ力も高く、岩場や泥道といった不整地でもしっかりと地面を捉える設計がされています。
総合評価: 78
今回レビューするアルトラのオリンパス6は、同ブランドでは最大の厚底「33mm厚のクッション性」、内側のガイドレールと扇形に広がるソールデザイン「Vibram Megagripを採用したグリップ力」で、その抜群のクッション性と転倒リスクを低減するクリップ力は、特に長距離トレイルランニングや重い荷物を背負った登山で高い評価を得ています。(今回このシューズを手に入れて日が浅いので耐久性は仮の70点にさせてください)
ALTRA について
アルトラ(Altra Running)は、2009年にアメリカ・ユタ州で、創業者のゴールデン・ハーパーらが、伝統的なランニングシューズが「足本来の動き」を妨げていると感じ、自ら改造して生み出したブランドです。トースターオーブンで既製品の靴底を加熱し、ヒール側のクッションを削って前足部と同じ高さにする改良を加えたことが「ゼロドロップ構造(Zero Drop)」の始まりです。
創業後、2011年に初のシューズを発売し、同年 Runner’s World誌で「Best Debut」を受賞。以後急速に成長し、2018年には大手アパレル・フットウェア大手 VF コーポレーションの傘下に加わりました。現在では世界50か国以上に展開し、トレイルやロード含め多彩なモデルを提供しています。
アルトラは「足に合わせるシューズ」を理念とし、ゼロドロップとフットシェイプ設計をコアに据えた革新的なブランドとして、ランナーやアウトドア愛好者から支持を集めています。
アルトラ ジャパン公式サイト : https://altrafootwear.jp
デザインと特徴

トレイルランナーからだけではなく、ハイカーからも絶大な支持を受けるオリンパスシリーズ。耐久性と快適性を兼ね備えたハイキング向けの「OLYMPUS 6 HIKE LOW」は、オリンパスのクッション性とグリップ力、そして安定性能の特長をそのままに、アッパーに耐久性の高いヌバックレザーを使用し、防水素材には革新的なGORE-TEX Invisible Fitを採用した、同社では「アウトドアアドベンチャー」のカテゴリーに属するシューズです。
国内でのカラー展開はブラックモデルのみ。ブランドロゴも同系色で統一されミニマルで洗練された印象です。
では、ここから「OLYMPUS 6 HIKE LOW」の細部を見ていきます。

岩場などでの耐久性アップのためヌバックレザーをアッパー素材に採用。アッパーの内側に配置されている防水透湿メンブレンには「Gore-Tex Invisible Fit」テクノロジーが使用されています。
Gore-Tex Invisible Fitメンブレンは、靴のアッパー素材と直接結合しているため、よりフィット感を高めてくれて快適です。ヌバックレザーアッパーと組み合わせで、水たまり、濡れた草、雨、水しぶきなどのシナリオから足を保護します。
ただし、ミッドカットモデルに比べて防水性が低いことに注意してください。水に浸かるとシュータンの隙間からシューズ中に侵入してきます。レザーモデルはメッシュ素材のモデルに比べて乾くのに時間がかかり、山行中にシューズ内を濡らしてしまったら絶望的です。

OLYMPUS 6 HIKEの大きな魅力のひとつは、何といっても圧倒的なプロテクションの高さです。大きなトゥーガードで強化され、根にぶつかったり、岩にぶつかったりしても、つま先を痛める事はありません。ランニングモデルのOLYMPUSに比べても抜群に高い保護力を備えています。
トレイルで歩いてみると、靴底にいくにしたがって幅広になっているミッドソールが先にヒットして、トゥーガードにダメージはありません。
厚底モデルのシューズ全般に言える事ですが、しばらく履いていると、ミッドソールが傷だらけになり削れてしまうのは仕方のないことかもしれません。耐久性においては従来の登山靴に軍配が上がります。

ソールの厚さはアルトラのトレイルカテゴリーの中でも最厚クラスの33mm。これが想像通り抜群のクッション性を提供してくれので、下りなどで膝への負担を軽減してくれます。また、このシューズの圧縮成形EVAフォームは適度な剛性が残してあり、以前レビューしたHOKAのフワフワした感じに比べて「厚底感」を感じさせません。
外見からは分かりませんが、足をシューズに入れた時、かかとの高さとつま先の高さ(地面から)が本質的には水平(ゼロドロップ)になっていて、素足で立ったときと同じような自然な姿勢を保つことができ、より効率的で無理のないフォームに近づけます。伝統的なランニングシューズはかかとが高いためヒールストライク(かかと着地)になりがちですが、ゼロドロップはミッドフットやフォアフット着地を促し、膝や腰への衝撃を軽減する効果があルトのこと。
ただ、実際に歩いてみてゼロドロップにおける変化を大きく感じる事はありませんでした。逆に履き始めたころアキレス腱と足首の可動域が大きくなってしまう為なのか、アキレス腱の軽い痛みを感じましたが、2~3回履いているうちに痛みはなくなりました。もし、痛みが続くようであれば、通常のドロップ(8〜12 mm)のハイキングシューズを選択する必要があるかもしれません。
また、つま先ロッカーはかなり適度の角度でカーブを描き、歩行時に足が自然と前に出ていき軽快なステップをサポートしてくれます。

硬いヒールカウンターは、かかとと足首の不必要なぐらつきを最小限に抑えるとのことでしたが、ミッドカットモデルに慣れ親しんだせいもあり、ヒールカップは浅めに感じられ、かかとが浮き気味なのが気になりました。
ヒール先端には大きめのループが取り付けられていて、シューズの脱ぎ履きするときに重宝します。

シューレースのホールは5列となっています。シューレースに関してはハイクは丸紐を採用していますが、こちらが緩みやすいのと若干短いのが難点。ホールド感を増やすためヒールロックで結んでみたいのですが、ちょっとシューレースの長さが足りない感じです。
先端にはプラスティック製のリングが取り付けられていて、同社から別売りのゲーターを取り付けるためのものです。
シュータンは厚みもあり、包み込むようなフィット感があります。シューレースを締め上げても痛くなりません。→前モデルはペラペラで不評だったそうです。
これにより足首周りがしっかりとフィットして、遊びがないので安定します。

トゥボックスはアルトラで最も幅広の「オリジナル フットシェイプ」プラットフォーム。インソールを取り出してみると、「フットシェイプトゥボックス」の独特のフォルムがよく分かります。足を入れてシューレースをきっちり締め上げても尚、足指がシューズ内で自由に動かせます。
足の大きさは実測で26.1cmで、普段のハイキングシューズは27.5cmを選んでいます。ただ、OLYMPUS 6 HIKEはちょっとだけタイトに履きたかったので27.0cmを選びました。最も厚い靴下を履いて先端は1cmくらいのゆとりがあります。実際にトレイルを歩いて、くだりなどで指先が当たるかなぁと心配してましたが問題ありませんでした。
そうそう、よくインソールを他社のものに変更する方も多いかと思いますが、同社のシューズでは難しいかもしれません。こんな形状をしたインソールは手に入らないかと思います。それでも変えたいということであれば、特注で作りますか?
意見を言わせて貰えば、アルトラのインソールに不満はありません。

Vibram Megagrip アウトソールを採用したこのシューズのトラクション・グリップ力の高さは、今まで履いたどのシューズよりも滑りにくいと実感しました。
ソールの全面に細かく配置されたトレッドと、どんな路面形状にも追従してくれるEVAフォームのミッドソールのおかげで、砂利のトレイルはもちろん、岩やガレ場、濡れた岩場においてもグリップ力を発揮してくれます。そして、下り坂でのブレーキングを改善するために、かかとが大きく、より広く設定されていることも見逃せません。
シューズ性能のおかげで、トレイルにピタッと足裏が吸いついてくれている感覚です。多少雑な足運びをしても安心感しかありません。
トレイルでの使用感

以前、ハイキング中の悩みとして、ソールの硬い登山靴では足の親指に水脹れができたりして辛い思いをしていました。特に長い下り坂が続くと足指に力が入り痛みが倍増です。
また、疲労が溜まってくると膝の痛みが出ることもありましたが、トレランシューズに変えてからはその症状も無くなり快適に歩けてます。
普段テント泊装備で歩く時はUL思考ではないので15kgくらいとなりますが、OLYMPUS 6のクッション性は、柔らかすぎず、硬すぎずといった具合で、大変バランスの良いソールの硬さです。

多分、多くのハイカーの方が「ローカットでは捻挫とか心配では?」と思うことかと思います。
OLYMPUS 6 HIKE LOWを履くまで同じ疑問がありました。
ただ、数年前までバスケットシューズはハイカットが主流でしたが、ハイカットが捻挫予防にはならないという考えが主流になり、今ではミッドカットやローカットのシューズが人気だそうです。
ハイキングでもローカットにしたからといって捻挫になりやすいという事はないかと思います。
実際履いてトレイルを歩いてみて、登山靴より足の裏で路面の状況が把握できるので変に捻ったりすることはありません。逆に足首の動きに自由度が生まれ、トレイル上の起伏に柔軟に対応しやすくなるのではないかと考えます。
ただ、岩場などではミッドカットやハイカットモデルの方が安心感はあります。くるぶしを岩に当てると結構痛いですから。。。

先にも書きましたが、OLYMPUS 6 のグリップ力は感動ものです。
これだけでも、このシューズを購入する意味があります。滑る気が全くしません。

今履いている登山靴を卒業して、軽量でクッション性のあるローカットのトレイルランニングシューズへの移行を検討している方も多いはずです。
従来の登山靴が安定性や耐久性を重視し、重厚で堅牢な作りをしているのに対し、今回紹介したアルトラはより自然な歩行と快適な履き心地を追求した革新的な設計が特徴です。
クッション性も大きな強みです。33mmの厚さを持つミッドソールは、衝撃吸収力に優れ快適な歩行を可能にします。さらにアウトソールにはVibram Megagripを採用し、濡れた岩場や泥道でもしっかりとグリップしてくれます。軽さと安定性を両立させた構造は、軽快なハイキングをもたらしてくれます。
総じて、6 HIKE LOW GTXは、従来の「守る登山靴」から一歩進んだ、「走れる登山靴」「動ける登山靴」と言える存在です。足の自然な動きを尊重しつつ、登山に必要な性能をバランスよく備えたこの一足は、これまでの常識にとらわれない新しい登山スタイルを支えてくれるでしょう。
トレイルランナーだけではなく多くのハイカーにも支持されていることも頷けます。
グリーンシーズンであれば、余程の悪天候でない限り、ゴアテックスを搭載したOLYMPUS 6 HIKE LOWでの縦走は可能かと思います。
もし、検討しているのであれば、一度試してみてください。もう従来の登山靴には戻れないかもしれません。


