梅雨の合間に北アルプスの燕岳(つばくろだけ)へ向かいました。
北アルプスの中で、そこまで難易度が高い山ではありますが、北アルプス三大急登のひとつ合戦尾根が待ち構えており、油断はできません。そして、大好きな北アルプスの素敵な風景を堪能しつつ、あわよくば天の川も撮りたい。そんな燕岳登山の様子をお送りします。
梅雨時では、なかなか山行の予定が立てられず、週末前に天候が良いことを確認できたら、思いつきのように近場の山へ向かっていました。7月に入り、どこに行こうかWEBサイトを徘徊していたら、燕岳のお膝元にある「燕山荘」(公式サイト)のテント場が空いているではありませんか!
そう、皆さんご存知の通り、ここのテント場はコロナ禍以降、完全予約制になっており、何しろ人気の場所であるため、週末は数ヶ月先まで予約が埋まっています。
空いていたのは7月7日の金曜日。ちょうど七夕!
七夕の日に北アルプスの稜線で天の川が見れたら、なんてロマンチックなことでしょう!
よしっ、決まり。
予約をしたあとは、毎日毎日、天気予報と睨めっこです。
出発前日の予報では、当日が晴れのち曇り、翌日の下山時は雨となっていました。なんとか天気も持ちそうなので、予定通りに出発です。
さて、今回向かう燕岳は長野県大町市と安曇野市にまたがる標高 常念山脈の北部にある花崗岩と花崗岩砂礫とで構成された山体は、白く美しく「北アルプスの女王」とも呼ばれています。山の名前の由来は、春の雪形がツバメに似ているためつけられたと言われています。
燕岳へは、登山口の中房温泉から入山し、コースタイムはおよそ4時間となっています。北アルプスの入門コースと言われる燕岳ではありますが、そのメインルートとなる合戦尾根は北アルプス三大急登と呼ばれており、標高差約1260mと決して楽ではありません。しかし、多くの登山者が登り、歩きやすく整備されていて、途中にベンチや合戦小屋などの目安や休憩スペースがあるので精神的には心強いものがあります。
今回のコース
ここのところ、近場の奥多摩界隈でリハビリ山行を繰り返していて、久しぶりのテント泊装備を担いでの登山となります。とりあえず、8月に予定している双六岳・鷲羽岳のため、更なるスタミナアップのため、急登を汗水流し、気合と根性を振り絞って、延々と登った先にある素晴らしい景色を得るのが目的です。これは試練です。
いざ出陣
心配なのが駐車場。平日とはいえ停めれるか不安で、4時に駐車場に第2駐車場にやってきたところ…まだ空き結構ありました。とはいえ、この時間でも次々と車がやってきます。
さすがは燕岳、相変わらずの人気ぶりです。
平日だからといって油断したいたら、止められなかった…あぶない!
駐車場から10分程道路を登っていくと登山口に到着です。
中房温泉登山口には、まばらではありますが、身支度されている方々がいました。
初っ端から急登が待ち構えてます。
とはいえ、前回登った御前山の急騰に比べれば楽々とは言えませんが問題ありません。
晴れの予報でしたが、空は薄雲で覆われています。
出発して約30分で「第一ベンチ」に到着しました。
この下に水場があるようですが、結構降る感じでした。
どんどん先に進みます。
あっという間に、「第二ベンチ」到着です。
このように一定の間隔で休憩スペースがあり、本当によく整備された歩きやすいトレイルです。
どんどんいきます。
第二ベンチを過ぎて少し進むと、水平移動のご褒美ゾーンがあります。
誰が最初に積み始めたのだろう。
数年語見てみたら、もっと積み上がってたりした。記録のため撮影。
青空が見えてきました!
テンションが上がります。
「第三ベンチ」に到着。ここでやっと中間地点。
ちょっと休憩して、先に進みます。
最後のベンチ、富士見ベンチに到着。
あいにく富士山は見えませんでした。
あと少し!!
スイカののぼりが見えて来ました。
合戦小屋に到着しました。
これからの合戦尾根に向けてしっかりと休憩です。
小屋の入り口に「合戦尾根」の名の由来についての看板が掲げてありました。
その昔、信濃国安曇野に「魏石鬼八面大王」という鬼がいて民衆を苦しめていました。蝦夷征伐に行く途中、坂上田村麻呂が鬼を追い詰め征伐したことが、この地名の由来との事です。(ザックリですいません)
合戦尾根から稜線へ
残り三分の一ということで、気合を入れて燕山荘に向けて出発です。
ここからは、だんだんと木々も低くなり、標高が高くなってきたことを実感できます。
途中、樹林帯からチラ見えのアルプスの山々と槍ヶ岳に目を輝かせながら、さらに登っていきます。
前方には燕山荘が見えました!
とは言え、見えてからが長いのは、いつものこと。
花崗岩が多くなってきます。
合戦沢の頭からは常念山脈が目線の高さで見えます。
うーん、だいぶ上がってきたな。
足場が砂地となり、滑らないように慎重に
岩場を超えて…
鎖場を超えて…
燕岳とコマクサ
稜線にでました!
燕山荘から見える燕岳、北アルプスの女王は相変わらずお綺麗です。
槍ヶ岳や立山など北アルプスの全景もバッチリ見えました。
テント場はまだだいぶ空いていました。
完全予約制なので、それほど焦らなくてもテント場が満員になる心配もないので、のんびり登られるのかなと思います。とは言え、良い場所を確保したいなら早く登ってくる事に越したことはないです。
とりあえず、テントを張ってからランチにします。
燕山荘で「山菜うどん」をいただきました。
塩味が効いてますが、たくさん汗をかいたので良い加減です。
ランチのあとは「燕岳」山頂を目指します。
燕山荘から燕岳山頂までは約20分ほど。といっても、もっと時間が掛かったような感じがします。
途中、黄色いお花が咲いていたので、穂高連峰をバックにシャッターを切ります。
そうそう、実はこの時期に燕岳に登ったのにはもう一つの理由がありました。
それは「コマクサ」を見るため!
昨年の夏は台風などでことごとく山行の予定が流れてしまい、北アルプスでコマクサを愛でることは叶いませんでした。そして、コマクサを探しすため、辺りを見渡しながら歩いていると…
いました!
コマクサです!
たくさん咲いてます!
砂地の斜面にも想像以上のコマクサ達が咲いているではないですか!
本当に登ってきてよかった!
お馴染みの「イルカ岩」、これが自然にできたとは。
とりあえず、おなじみの構図で撮影してみました。
振り返ると、以前歩いた大天井岳につながる表銀座の縦走路。新緑は今が旬です。
今度は「メガネ岩」。
頂上まではあと少し。
女王陛下が間近に迫って来ました。
山頂に到着です。
ため息が出るくらい美しい景色。
やはり、ここ北アルプスが一番大好きな場所です。
今年の8月に予定している双六岳・鷲羽岳も見ることができました。
その後、山頂がどんどん混んできたのでテントへと戻ることにしました。
その後、テントに戻ってお昼寝をして夕方起きてみると、あたりは雲に覆われていました。
これでは、穂高連邦に沈む夕陽は期待できそうにありません。
何より、「七夕に燕岳で天の川を見る!」という企画も無理そうです。
テントで食事を済ませて、一縷の望みで空を眺めていましたが、どんどん悪化していき、夜半過ぎには強風と雨が降り続いていました。
雨の下山
翌朝、昨晩から降り続いた雨は弱まる事なくテントに打ちつけています。
ちょっとでも弱まったら撤収しようかと思っていましたが、そんな気配が微塵もなかったので、意を決して大雨の中テントの外へ出ました。
稜線上なので、雨が顔を叩きます。
パタパタとテントをたたみ撤収作業を完了。
雨のなか下山を開始します。
昨日とは打って変わっての景色
ゴアテックスのレインウェアって、この時期は本当に不快です。
中は汗だくで、雨に濡れるのと変わらないくらいビショビショになってしまいます。
これなら返って、レインウェアなんて着なくても良いかもです。
雨の中の下山は、滑りそうで気を使うので、結構気疲れします。
そして、中房温泉に着くころには小雨になっていました。
まとめ
やはり燕岳は素晴らしい山でした。
合戦尾根は北アルプス三大急登に数えられるほどの急坂ですが、、一定の間隔で設けられたベンチや、合戦小屋の名物スイカで一息入れながら登れば、休憩ポイントも多いのでアルプス初心者でも簡単に登ることが出来ると思います。
恐れることはありません。
ということで、テント泊の山行でしたが、初日の夕方以降の写真はほとんどなく、日帰りっぽいレポートになってしまいましたことお許しください。
また、夕焼けや星空撮影のため、三脚をザックにくくりつけて登りましたが、無用の長物となり、ただの重りとなってしまったことは秘密です。
ではでは。
おまけ
帰りがけ、駐車場から程近い(歩いても行ける)「有明荘」にて、温泉に浸かり雨で冷えた体を温めさせてもらいました。
かつては国民宿舎でしたが、現在は安曇野市の指定管理者として、(株)燕山荘グループが運営しています。
近くの源泉から引かれている掛け流しの湯は、温度もちょうど良く、お肌がすべすべになり、大変気持ちがいいです。
風呂上がりには、食堂で腹ごしらえです。
長野に来たら、ご当地グルメの「山賊焼」をいただくことにしています。
見ての通り、鶏の一枚肉をニンニクなどのタレに漬け込みカタクリ粉をまぶして揚げた料理で、山賊が物を「取り上げる」様子と「鶏を揚げる」をかけているとか、名前の由来は諸説あるようです。
お店によって味付けが微妙に違うので、長野に来たら色々なお店で食べてます。
「山賊焼」美味しいですよ!