数年前までは、月イチくらいでのんびりキャンプを楽しんでました。
その頃は、どこのサイトもサマーシーズンを除けば週末でも比較的空いていて、都心から近い「道志の森キャンプ場」は静かな時間を過ごせる一番大好きな場所でした。
川沿いの広大な敷地に、区画などもなくワイルドな感じが昔から玄人好みのキャンプ場として有名で、敷地内の貯水池がプールとして開放される夏以外はファミリーキャンパーも少なく、静かな週末を過ごすことが出来ました。また、予約の受付もないので、時間が空いて気が向いたときにフラっと出かけられるのも良かったです。
この頃、使用していたテントがMOUNTAIN HARDWEAR(マウンテンハードウェア)のトランゴ2.5というテントで、憧れの登山家、故ウーリー・ステック氏がアンバサダーとして活躍していた頃に購入しましたが、エベレストなどの過酷な環境でも耐えることのできるテントは、オートキャンプではスペックオーバーでしたが、どこに行っても被ることはなく、逆に「マウンテンハードウェアってテント作ってたんだ」と声をかけられることが多くありました。
今のように数多くのアウトドアブランドは存在せず、ほとんどがコールマンかスノーピーク一たいな感じで、うちにも沢山のスノーピーク製品が転がってます。一番の古株は20年ほど前に購入した”焚き火台”で、重量が5kgを超える(Lサイズ)肉厚のステンレス素材で出来た焚き火台は、ゆがみ一つなく今だに現役で活躍しております。
徐々にキャンプ人口が増えはじめ、連休ともなると都心から近いキャンプ場は混雑が目立つようになったので、比較的に空いている北陸など地方に遠征をし、観光も兼ねてのんびりしたキャンプをこの頃はまだ出来ました。
日本海沿いは本当に魚介類が美味しく、市場などでたくさん仕入れてサイトに持ち帰って焼く!!みたいなスタイルがマイブームとなっており、まとまった休みが取れると北陸遠征を行ってました。
ハイキングから登山デビュー
栃木県は中禅寺湖の湖畔にある「菖蒲ヶ浜キャンプ村」でキャンプをしたとき、その場の思いつきから戦場ヶ原をグルっと廻るコースへハイキングに向かいました。日頃の運動不足も祟り、後半は膝の痛みもあり四苦八苦しながらテント場に帰ってきたのは、今では良い思い出となっておりますが、このあと帰宅してスグに登山系のYoutubeを見始めたり、書籍を読み漁るようになりました。
参考にさせてもらったYoutubeは、イタガキさんとJINさんのチャンネルです。両人とも映像が綺麗で「こんなきれいなところ、実際に登って見てみたいなぁ」なんて思いながらみてましたが、特に山道具などのレビューなど勉強になりました。
そして、東京都奥多摩の高水三山で登山デビューをしました。
ある書籍で初心者にオススメのコースと書いてあったので、自宅からも近いこちらのコースを選びましたが、「本当に初心者コース?」ってくらいハードで、景色を楽しむ余裕などまったく無く、ただひたすらゴールを目指して歩くだけの苦行ともいえる山行となりました。
このとき大きな勘違いをしていましたが、初心者コースとは技術的な難易度であって、フィジカルなレベルを指しているのではないということ。
これで、また次に山へ行こうと考える思考回路が今でも理解できませんが、この頃は、キャンプと登山を交互に行っている期間でした。
キャンプから登山へ完全シフト
まだ新型コロナウイルスが蔓延する前のお盆休みに、恒例の北陸遠征キャンプツアーへ向かいました。キャンプ場は夏休みということも有りファミリーでキャンプを楽しむ方々が多く、サイトで内では多くの子どもたちが遊び回ってます。そんな中、タープの下で昼寝をしている時、頭に激痛が走り飛び起きます。。。
何が起こったか理解が出来ませんでしたが、足元に野球のボールが転がってました。
そして、目線を上げると親子がグローブを持った姿でこちらを見ています。
ここで、やっと理解できました。あの親子がキャッチボールをしていて、そのボールが頭に当たったのだと。
キャッチボールをしていた父親が息子に「だめじゃないか、ちゃんとキャッチしないと」と言い、こちらへの謝罪の前に息子を叱責する姿に怒りがこみ上げてきて、少々声を荒げ父親に詰め寄って説教をしてしまいました。
その後も、この親子は私の視界からちょっと離れた場所でキャッチボールを続けていましたが、いくらキャッチボールが禁止されていなくても、キャンプサイト内では焚き火やコンロなど火を使用している場面が多く、危険なことくらい理解できない人がいるのかと思うと、キャンプブームとともにわけのわからない人種が増えてきたなと思うのと同時に、せっかくのお休みで、静けさを求めて自然の中でのキャンプを楽しもうとしているのに、人混みの中に飛び込んでいる自分の行為自体に矛盾を大きく感じ、この時を境にしてキャンプから登山へとシフトしていきました。
初のテント泊登山
重い装備を担いで行動するのは、初心者にはちょっと辛いだろうと思い、室堂から雷鳥沢までは1時間、翌日はテント場に荷物をデポして立山三山を縦走する2泊3日の山行計画を立てました。
天気予報では「雨のち曇り」となっていましたが、現地に行ってもしかすると良くなるかもしれないなんて甘い期待を持ちながら出発しましたが、室堂に着くと暴風雨がお出迎えしてくれて、ずぶ濡れになりながら雷鳥沢にテントを張りました。
そして、その嵐は一向に止む気配もなく、夜になると雨風が一層強くなりました。
次の日の朝、雨は小降りとなっいましたが、あたりは霧に覆われ何も見えない状況が続き、相方と相談の結果、このまま停滞していても天候の回復も見込めないだろうとの結論から撤収することにしました。
立山の撤退から1ヶ月後のシルバーウィークに、上高地から徳沢に入り蝶ヶ岳に向かいました。
前回とは違いテント泊装備を担いで、徳沢から長塀山(ながかべやま)を登り蝶ヶ岳までのルートなので、かなりハードで堪えました。
このコースはほとんどが樹林帯の中などで、景色を楽しむのでもなく、ただひたすら山頂を目指し登りました。
それでも、なんとか蝶ヶ岳のテント場にたどり着きましたが、ここで連休のテント場争奪戦を経験。
このときは、なんとか開いてるスペースを見つけてテントを張ることが出来ましたが、とにかく凄いの一言。
しかし、この時見た夕日には感動しました。
キャンプから登山に転向する時に揃えたもの
まず、大きいものでテントについては、キャンプで使用していたMSRのエリクサーでは重量もあるので、ローカスギアのシェルターテントを購入しました。フロアレスで軽くコンパクトになるので重宝しています。
寝袋やスリーピングマットなどは、それまで使用していたものをそのまま使用しています。また、クッカーやカラトリーも同様にキャンプのときに使用していたものを当初は使用していましたが、これは後に別のものにしました。
登山でいちばんお金がかかったのがウェア類になります。アウターからインナー(肌着)に至るまで普段着とは異なり、汗を素早く放出し体を冷やさないことの他に、どの様な気象条件でも快適に行動できる機能素材が必要とされています。それは、一着のウェアでカバーできるものではなく、季節や天候などで使い分けなくてはならないので、あらゆるシチュエーションを想定し揃えていきます。
山では汗冷えで低体温症になり命を落とすこともあるので、多少高くても自分命を買ったと思えば安いと言い聞かせてます。
また、人によって体感温度や発汗量も異なるため、人がススメてくれたり高評価のレビューをみて購入しても、自分には合わなかったりするので勉強代も高くついてしまいます。(使わなくなったウェアは、某フリマサイト行きです)
なので、ウェアについては最初から高いものを一気に買わず、経験と知識を蓄えながら必要とするものを少しずつ買い足していったほうが良いかもしれません。
あと、大切なのはバックパック
日帰り登山とテント泊で容量が異なり、山行に合わせてどんどん増えていきます。「大は小を兼ねる」などとも言いますが、日帰り登山に50リッター容量のものを使うのはナンセンスで、そのシチュエーションに合わせたバックパックが必要となります。
テント泊登山の醍醐味
登山といえば、「つらい」「大変」「きつい」というイメージしか無いかもしれません。特にテント泊登山となると、20kg近くの装備を担いで山を登らなくてはならないので、ほんとうにシンドいです。
とはいえ、苦労した分だけ、普段の生活では見ることの出来ない美しい景色が待っています。今ではインターネットやSNSなど私たちの生活に広く浸透し、自宅にいながら色々な方の体験を共有することは出来ますが、やはり、自分の目で実際に見る景色は違います。
大自然の雄大さ
ときには過酷で、ときには優しく
私たちを迎えてくれます
また、いま深刻な環境問題も、自分の身近なこととして捉えることが出来、普段の生活の中で意識し行動するようになります。
私と同じく、キャンプから登山に転向したいなって思っている方、投資額は少々ありますが、その体験はPRICELESSです。