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【レビュー】圧倒的な安心感 Arc’teryx LEAF Alpha Jaket Gen2

Arc'teryx LEAF Alpha Jacket Gen2

今季、ハードシェルジャケットをArc’teryx社が軍及び法執行機関向けに生産しているLEAF Alpha Jaket Gen2 に変更しました。「LEAF」は「Law Enforcement & Armed Forces」の略で、プロフェッショナル向けの商品である事を示しています。

それ以前までは、Triple Aught Design社のStealth Hoodieを愛用していましたが、最近の同社のプロダクツは細身なシルエットとなり、特に肩周りなどは以前のモデルに比べてタイトな作りとなった為、岩場などで腕を上げたりする場面では窮屈な感じがありました。(以前のモデルは逆にゆとりがあり過ぎでした)

汗っかきな自分にとってStealth Hoodieに使用されている素材 Neoshell(ネオシェル)は、透湿性に優れたベストな選択ともいえましたが、最大の特徴である通気性が災いして、稜線上で風に吹かれると寒く汗冷えすることもあったのと、5月の涸沢で氷雨に遭遇した時、撥水機能も追いつかずシェル自体が水分を含んだ状態で、とても寒い経験をしたこともあり、防風性・防水性にも優れているといわれるGore-Texのハードシェルを選択したのも理由の一つとなります。(見せてもらおうか、Gore-Texの性能とやらを!)

Triple Aught DesignのStealth Hoodie LT

 

Arc’teryx LEAF(アークテリクス リーフ)について

カナダのバンクーバーにて設立されたArc’teryx(アークテリクス)は、「地球上に存在する良質のマテリアルを使用する事」をコンセプトに掲げ、アウトドアブランドとして不動の地位を築いています。そのプロダクツのラインナップ中でハードシェルジャケットは、アウトドアをする者、特に過酷な山岳環境において、あらゆる気象条件から身体を保護してくれる頼りになる存在です。

そのアークテリクスのなかでも軍及び法執行機関向けブランドが「アークテリクス リーフ」となります。「LEAF」(リーフ)は「Law Enforcement & Armed Forces」の頭文字を取った略で、プロフェッショナル向けの商品を展開しています。

シルエット

Arc’teryx LEAF Alpha Jaket Gen2 は、軍向けの仕様ではありますが、実際に手にとって見ると、アウトドアブランドとは思えないイタリアンオーダースーツのような上質でいて、繊細な仕立ての良さが伝わってきます。また、一般のラインナップにない、強度・耐摩擦に優れたナイロン繊維を格子状に縫い込んだリップストップナイロン生地が使われているのも特徴です。

通常ラインナップでもアークテリクスのシームテープの細さは有名ですが、シームテープが太いと透湿性を損なうだけでなく、ジャケットとしての運動性も阻害するとの理由から、同社ではシームテープを限りなく細くしていることは有名です。そして、このAlpha Jacketにも細めのシームテープが使われ、防水性と耐久性を担保しつつ、透湿性と動きやすさを向上させています。普通、軍向けのプロダクツでは、耐久性と生産性を考えただけの無骨なものが多い中、こうしたディテールにもこだわりを感じます。

これも軍隊向けの仕様と思われますが、プレートキャリアの上からでも着用できるよう肩や腕周りは十分に余裕がとられています。このゆとりあるシルエットのおかげで腕の上げ下げは支障なく行うことができ、立体的なカッティングとパターニングも相まって、フリースやダウンとの重ね着もストレスがありません。

このジャケットにおける一番のアイコンとなるのが、一般モデルにはない収納式のフードとなります。使用しないときは襟の中に畳んで収納し、使用するときは襟後ろのジッパーを開けてフードを取り出します。これは、一般のモデルは雨天時のレインウェアーや冬山の降雪時の使用に限定されることからフードを収納する機能は必要ありませんが、軍隊が展開する環境は冬山にとどまらず、雨や雪のない砂漠地帯なども想定されているためともいえます。収納式のフートとはいえ、ヘルメットを装着していてもかぶることの出来る大きさがありながら、グローブを装着したまま調整が可能な4点のドローコードにより抜群のフィット感を得られます。

両腕にあるパッチ(ワッペン)を取り付けられるベロクロとポケット。ポケットは結構大きいのでiPhoneくらいなら楽勝で収納できます。

また、ポケットは全部で6箇所となり、胸のメインポケットにはグローブも入る大きさが確保されていて、裏側にラミネート加工されたポケットは、ちょっとした小銭入れやカードを収納できるくらいの大きさです。

サイズ感はUSサイズ、とくに軍隊向けのムキムキマン向けなので結構大きいです。身長が177cm、Mサイズでも中に普通にダウンなど着込めます。特に腕まわりはかなり余裕がある作りになってます。タウンユースならSサイズでも全然いける感じです。

 

天候からの保護

Arc’teryx LEAF Alpha Jaket Gen2 は、あらゆる気象コンデイションにおいて頑固に身体を保護してくれるジャケットです。その高額な値段を飲み込めるなら、それは、他のアークテリクスのハードシェルと同等に、数日間のスキーツアー、登山目的といった異常気象が懸念される環境下での理想的なジャケットとなります。素材はGore-tex Proと同等かそれ以上の耐水性・耐風製・耐久性と通気性を備えている「GORE-TEX BD450 3L 40d Nylon Ripstop」3レイヤー構造の防水透湿素材が使われています。

表面素材は40デニールで、Alpha SV Jacketの100デニールにはスペックは劣りますが、これも雪山だけでなく砂漠地での着用や行動の妨げにならないようしなやかさに配慮したものと思われます。とはいえ、実際に雪山でこのジャケットを着用してみると、凍えるような寒さの中での日本海側の湿った大雪や冷たい北風など、あらゆる過酷な気象から守ってくれました。過酷な高山の条件で何日も過ごした後でも、Alpha Jaketの要塞のような殻に湿気が浸透していませんでした。やはり、ハードな環境下におけるゴアテックス製ハードシェルは安心感があります。 

通気性

私は暑がりでスグに汗をかく傾向があるため(滝汗族)、運動するときはをジャケットを着用しないようにしていますが、雨が降ったり荒れた天候時はではそうも言ってられません。そのときに重宝するのが両脇下の大きなピットジッパーです。このジッパーを開けると新鮮な空気が入り込み、ジャケット内のムレを軽減してくれます。

とはいえ、ピットジッパーにも限界があり、運動量が多くなるとピットジッパーだけでは換気が追いつかずムレ感は大きくなります。Triple Aught DesignのStealth Hoodie LTを着用している時、Neoshellのジャケットの透湿性についてはゴアテックスよりも優れていたので、行動中にムレ感はそれほど無く快適に行動できましたが、雪山で吹雪かれると結構寒かった印象があり、どちらも一長一短とはなります。

そもそも、Gore-TexとNeoshellでは透湿性のメカニズムが異なり、Gore-Texでは、温かい空気は温度の低い方へ動く性質を利用するので、ウェア内が外気温より高くないと透湿性は機能が働きませんが、一方のNeoshellは、通気性を高めることでアクティビティ時の身体から出る蒸気や、汗による衣服内の濡れを極端に軽減することができ構造となっているため、強風に当たると若干寒さを感じやすくなっています。

一点だけアークテリクスのハードシェルジャケットの不満を言わせてもらうなら、メインジッパーが双方向に開閉できるダブルではないことです。両脇のピットジッパーだけで換気が足りない時、メインジッパーを下から開けられるのは、小雨が降っているときなどにとてもありがたいです。軍使用に焦点を当てたビルドを考えると、この省略には正直少し驚いています。双方向のジッパーなら、ハーネスに取り付けた装備(ウェポン)にも簡単にアクセスでき、座ったときにシェルに締められたりするのを防ぐことができるで必要な機能ではないでしょうか?

 

メリット

  • Arc’teryx LEAF Alpha Jaketは、風、雨、雪からの保護は充分すぎる性能を発揮してくれます。
  • 一般モデルにないカラー(クロコダイル)を選べること
  • 収納式StowHoodは調整が簡単で視野に影響を与えることなく、ヘルメットの有無にかかわらずうまくフィットします
  • Arc’teryxの製品クォリティの高さ、フィット感と仕上がりは最高です。
  • なにより、プロフェッショナル向けのプロダクツということで男心をくすぐります
  • 一般のアークテリクスモデルのほとんどが海外生産になってしまいましたが、Arc’teryx LEAF Alpha Jaketは「Made in CANADA」

 

デメリット

  • 価格が高い
  • 入手が困難(本国やアメリカのショップから個人輸入を試みましたが、個人への国外の発送はしてくれない)→2023年1月から日本国内でも官公庁職員のみ販売(一般購入不可)となり、注文時に自衛官、警察機関関係者等の身分証明書の確認が必要となりました。
  • メインジッパーが双方向に稼働しない

 

結論

ハードシェルは、1つの目的を念頭に置いて設計されています。それは、体から湿気を逃がしながら、どのような悪環境からも保護することです。ここで、吹雪いた登山を想像してみてください。空から冷たい雪が降りしきり風が吹き荒れ、その環境下で行動しなくてはなりません。極端に聞こえますが、それは起こります。

ここでは、NeoshellからGore-Tex素材のハードシェルに変更したことについての理由を述べさせていただきましたが、最良の選択をするためには、ハードシェルの使用目的は何で、どのシーズンまたはシチュエーションで使用するかによって変わってきます。ここに全てにおいて優れた勝者はおりません。


もし、参考にしていただけるなら、一言で言えば、私の推奨事項は次の通りです。

Arc’teryx LEAF Alpha Jaket Gen2→寒さ、雪・雨などの非常に悪い冬の条件での登山。ほぼすべてのウィンタースポーツに対応する多用途のハードシェル。 

Triple Aught Design Stealth Hoodie LT→現代の冒険家のためのマルチロールの3シーズンシェル。しなやかなNeosell素材がもたらすハードシェルとソフトシェルのクロスオーバー的なジャケット。

また、現在の登山ではレイヤリングがとても大切です。ベースレイヤーから始まりミッドレイヤー経て、アウターシェルに至ります。そのすべてを考慮して、全体のウェアシステムを構築して完成させなくてはなりません。それは、個人個人の体感などからも変化し、正解は自身の経験から導き出すしか無いことを付け加えさせてください。

では、良いアウトドアを



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