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TASMANIAN TIGER BASE PACK 52 IRR
テント泊用のバックパックを買い替えました。
今回はこの「TASMANIAN TIGER BASE PACK 52 IRR」について、購入した理由などを書いていきます。
総合評価: 72
TASMANIAN TIGER BASE PACK 52 IRRのサイズは約74 x 31 x 21 cmで、重さは2.6 kgです。軽量とはいえませんが、V2 PLUSキャリングシステムのおかげで、とても快適に背負えるバックパックです。容量可変トップローディングは52~62リッターの荷物を詰め込むことができます。
今まではミステリーランチのソートゥース45をメインで使用していましたが、45リッターの容量はテント泊では大きいともいえず、後付けのポーチやバックを必要に応じて取り付けて対応していました。
ウェストポーチ、トップリッドを取り付けて、10リッターくらいの増量です。
雪山だと、これにチェストポーチとバックパックの下にコンプレッションバックを外付けすることも。
まあ、そんなに重い荷物を担ぎ上げるほどの体力があるわけでもないので、小さい方がULにもつながり、余計な荷物を持たなくて済むので良いかなと思い使ってきましたが、しかし、ふと思い返してみると、荷物を詰め込むためにポーチやらを取り付ければ、返って重量増につながるのではないか…やはり必要装備を詰め込める適正なサイズのザックが良いだろうと考えました。
このザックは3年前、テント泊をするときに購入しました。
昭島のA&Fにてフィッテイング等見ていただき決めたわけなのですが、あれからもう3年…時間が経つのは本当に早いですね。
好みの色だし、デザインも良いし、バックパックに容量以外で不満は特にありませんでした。
選んだ理由
で、今回購入したのがTASMANIAN TIGER(タスマニアンタイガー) BASE PACK 52。
タスマニアンタイガーって知らない人が多いと思いますが、ドイツの総合アウトドアブランドメーカー「タトンカ」が製造しているミリタリーラインになり、ドイツ連邦軍をはじめとした世界各国の軍隊、法執行機関からの厳しい要求に応え、現場のプロ達から高い信頼を得ています。
伝説となったタスマニアンタイガー 捕食者の継承者
タスマニアンタイガーは、オーストラリア大陸に存在していた世界最大の肉食有袋類でした。小さな狼ほどの大きさで、「タスマニアンタイガー」の呼称はそのカモフラージュともなっていた縞模様によるもの。
足は速くなかったものの執拗な捕食者で、夜間に獲物が疲れ果てるまで追い続け、狩りました。鋭い歯と180度開く口を持ち、獲物に対して全く容赦なかったといわれます。
タスマニアンタイガーは、1930年代のタスマニア島での確認を最後に絶滅したと考えられています。その後、今日までタスマニアンタイガーは目撃されていません。一方で、人の目を逃れて生き残っていることを信じる人もいます。
タスマニアンタイガーの伝説的な生存への強い意志、賢さ、強さと忍耐強さ−これらの美質は製品に「タスマニアンタイガー」の名を冠することがふさわしいと想起させました。
捕食者の系譜 ― 伝説は生きています。
日本でいうところのモンベルみたいなメーカーが自衛隊用のバックパックを生産しているイメージでしょうか。
キャンプをされている方なら、タトンカのタープは有名だと思います。日本ではレーザーマンツールジャパンが代理店となっているようですが、タスマニアンタイガーは、トランパーズが取り扱いをしています。
そのタスマニアンタイガーのラインナップからBASE PACK 52を選んだ経緯については、まず、細身のスリムなデザインが良かったこと。ミリタリーバックパックは大体において、横に広いぶでっとしたモデルが多く好きになれません。
また、基本52リッターの容量となっていますが、ロールトップを調整することにより、最大62リッターまで容量を拡張できるところが決め手となりました。
軽くしたいって言ってる割に、ハンティング用バックパックの次はミリタリーかいぃ!って突っ込まれるかもしれませんが、やはり、ここはデザインも含めて、プロが使用する堅牢さを求めてしまうところもあります。
山行中にバックパックのベルトが千切れた! とか洒落にならないですよね。
最近のUL系バックパックも、すごーく興味はあるんですが、軽さを追求した華奢な感じが、ちょっと怖かったりします。
あと、ミステリーランチ同様、色々なポーチやオプションパーツが展開されているので、カスタマイズできるところも、ググッとくるところがあります。
バックパックの細部
タクティカルギアメーカーとタスマニアンタイガーのようなバックパック専門メーカーが造るものでは、背面システムに決定的な違いがあります。肩にかかる負担を、いかにウエスト側へ逃して荷重を分散するかが重要です。
その点、重い荷物を持って野山を快適に歩くためのノウハウは、バックパック専門メーカーに一日の長があるかと思います。特に大型ザックではその技術があるのとないのでは雲泥の差となります。アークテリクスやグレゴリーがアメリカ軍向けに製品開発を行っているとのことも頷けます。
タスマニアンタイガーのV2プラス・システムと呼ばれる背面は、バックパネルの左右に配置された2本のグラスファイバーロッドが肩の位置からウエストハーネスまで支える構造により、効率的な荷重移動と背面の柔軟性を同時に実現しています。
先日の燕岳へのテント泊で初めて使用しましたが、とてもいい感じでした。
今まで使用していたミステリーランチのハンティングシリーズは、「野」を歩くためのシステムとしては優秀だと思いますが、ウエストベルトが大きいため、足を上げるのに若干違和感がありましたが、このBASE PACK 52 のウエストベルトは、足捌きを邪魔することなく、軽快に山を登ることができました。
まあ、ミステリーランチの場合、獲物を運ぶため60kgの荷重に耐えられる設計になっているとのことなので、腰をぐるっと包み込むウエストベルトが必要だったのかと思います。
強い荷重がかかる腰部分には、分厚いクッションが当てられ、肩の部分などにも低反発の少し硬めのウレタンフォームが備え付けられているので、クッション性に問題ありません。また、それぞれのクッションパネルは、独立して配置してあるため、背中の通気性も確保してくれていて、快適な背負い心地に必要な要素がすべてそろっています。
ショルダーストラップも背面長に合わせて位置調整が可能です。
ウエストベルトは取り外し可能となっています。
素材はコーデュラナイロンの700Dを使用しているため、バックパックの重量は2.6kgと、ちょっと重いです。まあ、先日までメインで使用していたミステリーランチのソートゥースが500Dを使用し、45リッターながら2.4kgもあったので、ポーチなどを外付けすることを考えると、軽くなったのかなって思います。
500Dであったとしても、耐久性に疑問はないと思うので、軽量化のためにもそうして欲しかったところですが、良い点としては、素材に厚みがあるので、雑に荷物を詰め込んでも型崩れせず、ぶかっこうにならないところですかね。
また、素材にはIRR – Infra Red Reflectanceという加工がしてあり、赤外線暗視装置へのカモフラージュ効果があるそうですが、一般で使用するには必要ないですね。とはいえ、この加工が施してあるStone Grey Oliveというカラーが、フォリッジグリーンとも異なり、グレーとグリーンの中間見たいなカラーがすごく良い色なんです。
カラーバリエーションは、オリーブグリーン、コヨーテブラウン、ブラック、ストーングレーオリーブ(IRR)の4色から選ぶことができます。
バック全面にMOLLEシステムのPALSループが取り付けられています。
これも、重量増加の要因の一つともいえますが、色々な場所にポーチなどが取り付けできる拡張性があります。
あとでファーストエイドのポーチやカラトリーなど小物を入れたポーチを取り付けようかと思ってます。
大きいバックパックだと、上蓋開けて物を取り出すのって億劫になりますよね。その点、ポーチを外付けにしてしまえば、サッと物が取り出せて良いかと。
取り外し可能な上蓋が付いています。
ここも700Dの素材が使われており、小物を無造作に入れても変形せず綺麗な形を保ってくれます。
バックパックって山で歩いていて、結構目につくところなので、パッキングが上手でバックパックが綺麗なシルエットだと、「あぁこの人、山歴長いな」って思ってしまいます。
内側には、明らかに応急処置キットを入れておくためのファスナー付きコンパートメントがあります。
十分に長いストラップのおかげで、蓋も高さに合わせて調整できます。
ロールトップは、荷物の量で調整でき、最大65リットルを得ることができます。
また、サイドに付属のストラップを取り付けて、ロールトップのバックルを横で固定することもできます。
荷物が少ない時は、スッキリしていい感じです。
下部にはメインコンパートメントへのアクセスがあります。この部分は分離することもでき、寝袋やテントなどに最適な場所となっています。
上蓋を開閉することなく、下から荷物を取り出せるのは、使ってみて結構便利です。ハイキング向けバックパックでは昔からある方式ではありますが、ミリタリーバックパックでは珍しいのではないでしょうか。
やはり、ここら辺もハイキングメーカーの色が出でいます。
実際に背負ってみて
先日の燕岳テント泊にて使用してきました。(燕岳の山行レポートは、こちらから)
出発前に測った重量は16kgでした。
実際に背負ってみての感想は、今までのミステリーランチでは、「腰80%肩20%」の腰重視で背負っていた感覚でしたが、今回のタスマニアンタイガーは、「腰60%肩40%」みたいに荷重が上下に分散されていた感じです。
今までは、ほとんど腰だけでザックを背負っていたこともあったので、肩の荷重に慣れていないせいなのか、最後の方では結構肩が痛くなってしまいましたが、ここら辺は各ストラップや背面長の調整などで追い込んで、もう少し改善を試みたいと思います。
また、一番大きかった良い点は、左右移動や上半身が垂直からずれるような動きに対して、以前のミステリーランチに比べて、左右に振られる事がありませんでした。多分、背中への吸い付くような背面システムのおかげとかと思います。
グリーンシーズンで荷物が少ない時は、上蓋輪外して使用することも可能です。
別売りでレインカバーもあります。
まとめ
簡単ではありますが「TASMANIAN TIGER BASE PACK 52 IRR」について書いてみました。
ハイカー向けではない製品なので、興味のない方には意味のないレビューとなりましたが、ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
逆の意味で少々派手かもしれませんが、このザックと一緒に色々な山へ行くのが楽しみです。
新型コロナウイルス感染症による、原材料高騰や物流費用の高騰などにより、価格改定を行うというのが大半です。
また、円安が追い打ちをかけて(2023年7月)輸入製品の価格が高騰しています。
特にアウトドア製品は輸入物が多く、軒並み値上げとなっているので、価格を見るとびっくりすることがあります。
来年、再来年以降の値上がりを考えると、欲しいものは今のうちに買っておいた方がいいのかな?
...なんて思います。
おまけ - タスマニアンタイガー
9月7日はタスマニアンタイガーが絶滅した日とされています。
フクロネコ目フクロオオカミ科フクロオオカミ属に属し、絶滅以前はこの科の唯一の生き残りでした。オーストラリアやニュージーランド、アメリカ大陸のごく一部にのみ進化した、いわゆる有袋類の一種で、カンガルーやコアラと同様にメスにはポケットがあり、幼体をポケットの中で育てます。
灰色から黄褐色の体毛は短く、背中の途中から臀部、尾にかけて、13~19本の茶褐色か黒の条が入り、この独特の縞模様が「タイガー(トラ)」の呼称の所以となっています。
タスマニアンタイガーはオーストラリア全土で生息していましたが、気候変動などにより2000年前にタスマニア島のみで生息するようになりました。その後、乱獲や生息地破壊などの要因により、急速に絶滅へと向かってしまいました。
野生の個体が姿を消すと、生きたまま捕獲された一部のタスマニアタイガーが動物園の檻の中で生き残るのみとなりました。それらも次々と死んでいき、オーストラリアの動物園で飼育されていた最後の一頭「ベンジャミン」のみとなってしまいます。
そして1936年の9月7日、飼育員の不注意で屋内のねぐらが夜になっても施錠されたままとなり、野外の檻に取り残され、早春の極寒の中「ベンジャミン」は凍死してしまいました。
オーストラリアは悲劇を繰り返さないよう、後年この日を「国家絶滅危惧種の日(National Threatened Species Day)」に制定しました。