今回は、前回予告していた登山靴について
最近トレイルランニングシューズで登山をしている人をよく見かけます。
中には登山靴不要論を主張する方もいて、ウルトラライトに代表されるように、登山用品が昔に比べて軽量化しており、2泊3日のテント泊装備でも10kgを切るなんてことは普通になりつつあり、それに合わせてシューズも軽量なトレランシューズで歩く人が増えているのではないかと考えます。
しかし、ホントにトレランシューズは登山靴の代わりになるのでしょうか?
重くて堅牢な登山靴は必要ないのか?
トレランシューズが登山に適しているか?といった話題はネット上でも議論になることがありますが、トレランシューズでも問題ないとして、トレランシューズで北アルプスの岩稜帯をストレスなく歩けるのか?
人によっては問題ない、ある人は危険を感じた!!というように個人差が大きいように思います。
登山靴は靴底に「シャンク」と呼ばれるプレートが入っていて、ソールのねじれや歪みを補強するとともに地面からの衝撃を吸収してくれるのですが、このシャンクの硬さも色々あり、重登山靴や冬靴はハードなものが使われておりソール(靴底)は手では曲げることはできません。
逆にトレランシューズなどでは、ソフトなシャンクを使用していたり反発力のある素材を使用して、ソールのたわみを推進力に変える働きがありがあるため、歩くのが楽になります。
外的衝撃、防水性、冬においては寒冷から保護する機能を満たすため、どうしても登山靴は重くなり、それらの機能よりも機動力を特化させたのがトレランシューズと言えます。
そもそもの生い立ちから、トレランシューズと登山靴では異なり、トレランシューズは、運動性能を第一に考えられたランニングシューズに山で走るための保護性能をもたせたもので、重い荷物を背負い、あらゆる環境下で足を守るのに特化したのが登山靴だといえます。
昨今では、素材の技術進歩もあり、軽量な登山靴も登場していますが、軽快に歩ける快適性はあとから付け足された性能であり、トレランシューズと比べると、まだ両者には大きな開きがあります。
トレランシューズの圧倒的軽さと機動力を取るか、登山靴の外的要因からの保護性能を取るか?
結論から言うと、それぞれのシューズには適した路面や環境があり、万能な道具などは存在しないので、メリット・デメリットをしっかりと把握して、荷物の量、登山スタイルや体力を加味して、自分に合う(必要な)ものをチョイスして、自分の足で経験しなくては正解は出ないのではないのでしょうか。
チョイス
昨年の夏ぐらいから軽い靴いいなぁと気になり始めていた私です。
ただ、気象条件が変化しやすい登山において、いきなり防水性能のないトレランシューズで北アルプスを縦走するのは勇気がいります。
ゴアテックスは必須条件で、ローカットシューズも魅力的ですが、靴にゴミや石が入ったりするのが煩わしのと、ハイカットのモデルの安心感はやはり欲しいところ。
そうした条件ではトレランシューズは難しいので、トレランシューズくらいの軽量な登山靴を探してみました。
候補はこんなとこ
MERRELL MOAB 2 MID TACTICAL
SALOMON QUEST 4D GTX FORCES 2
Lowa Zephyr GTX Mid TF
VASQUE BREEZE LT GTX
候補に上がったモデルの共通点、こだわりといえば色です。
「コヨーテ・ブラウン」がラインナップにあるモデルで、「視覚的に自然を汚さない」コンセプトのためにもこれだけは外せません。余談ですが、ノースフェイスで言えば「ケルプタン」も大好きな色。
そして、「軽量な登山靴」の条件にピッタリだったシューズが
『VASQUE BREEZE LT GTX』となります。
VASQUE について
最高のフィット感がVASQUEのポリシー
世界中のアウトドアシーンに、今や欠かすことのできないフットウェア1964年、VASQUEは高品質のワークブーツ&シューズメーカーとして世界中で知られている、『レッドウィングシューカンパニー』の一部門としてスタートした。設立当初のブランド名は『VOYAGEUR』。同社のアウトドアフットウェア部門として、イタリア製の最高品質のハイキング・バックパッキングフットウェアの製造・輸入・販売を始めた。
ブランド名を『VASQUE』に変更したのは1972年のこと。今や高品質アウトドアフットウェアの代名詞ともいえるVASQUEブランドが、ここに始まった。
そして1984年、2つの大きな出来事を機にVASQUEは世界市場に名を馳せることとなる。一つ目は後にVASQUEの代名詞ともなり、マーケットに多くの影響を与えたバックパッキング用ブーツ、『Sundowner(サンダウナー)』の発表である。そしてもう一つが、他社に先駆けたアジアのマーケットへの進出であった。こうして今もなお、高品質のフットウェア生産を元に、世界市場で競争力を保ち続けている。
今日、VASQUEは、高品質なアウトドアフットウェア・メーカーとして広く認知されている。
バスク製品は常に変わり続けているが、その反面、設立当時より一貫して守り続けているポリシーがある。それはフットウェア専門小売店としての誠実な販売姿勢であり、アウトドアフットウェアのフィット感に対する責任感だ。VASQUEはこの先も変わらぬポリシーの元、アウトドアフットウェアのリーディングカンパニーとして、 最適な履き心地を提供し続けていくだろう。
出典: VASQUE公式WEBサイト
BREEZE LT GTXの概要
VASQUE BREEZE LT GTXはBreeze 3.0の大幅な軽量化を実現したモデルです。
Breeze LTシリーズではアウトソールに最先端のVIBRAM®Lightbaseテクノロジーを採用し、従来のソールより約25%の重量を削減しました。
アッパー部分にも軽量化の為に極力パーツ数を減らすデザインを施し縫い目箇所を削減しております。代わりにシンセティックマイクロファイバーを使用し軽量性と耐摩耗性を両立しておします。
実は既に入手して半年が経ち、低山から先日の八ヶ岳縦走で試しているので
この半年間で使った感想を少し
パフォーマンス
試着すると初めて、その軽量で包み込むようなサポート的な感触に感動しました。
1泊2日のテント泊装備で20kgのバックパックを運ぶとき、柔らかなミッドソールがちょっと不安でしたが、鋭い岩の上を歩いても十分な保護とクッション性を確認できたのと、足首を固定しながらも、歩行の妨げにならないように、足首が柔軟に動くような工夫を感じ、テント泊装備を背負った状態でも衝撃を和らげてくれるサポート力にとても満足しています。
この時、ハイキングシューズが大きく進化したことがすぐにわかります。
今までいくつか履いた登山靴では、必ず下りで足の親指に豆ができてしまい、とても痛い思いを毎回していましたが、このBreezeLTを履いてから、そのような痛みから開放され、最初から最後までハッピーなハイキングを楽しめるようになりました。
スニーカー感覚で履ける軽量性
メンズサイズ9インチの場合、片足377g(メーカー表示)BreezeLTはトレイルで非常に軽くて軽快に感じました。実際候補にあがったSALOMON QUEST 4D GTX FORCES 2(655g)やMERRELL MOAB 2 MID TACTICAL(540g)と比べれば、十分軽量で、ランニングシューズに着想を得たデザインは、多くの頑丈なトレイルランナーと重量が似ています。
因みにトレランシューズの代表でHOKA TECTON Xというモデルがありますが、こちらはローカットデザインで防水性もなく240gですので、BreezeLTがとても軽量なハイキングシューズであるかが理解できます。
特徴的アウトソールのトラクション
BreezeLTに搭載された最新のVibram Megagripコンパウンドはグリップが良く、特徴的デザインの花の形をしたラグは小さく、取るに足らないように見えますが、このトレッドパターンは、柔らかい砂から岩まですべてに自信を持って貼り付いてくれます。また、半年間履いてもソールの消耗が見られず、ラグの耐久性があるのも嬉しい限りです。
防水性と通気性
春山シーズンから本格的に使用し、小川の横断や小雨の降るトレイルで、このシューズはゴアテックスメンブレンのおかげで、足は濡れることなく快適に歩くことができました。
通気性について防水シューズが高く評価されることは少なく、BreezeLTも予想通り換気がうまくいきませんでした。(もう少し期待していましたが。。。)
薄手のウールのハイキングソックスと組み合わせても、アッパーがメッシュされているにもかかわらず、シューズの中は著しく暖かくなりました。耐えられないことはありませんでしたが、トレイルで長く暖かい日を過ごした後、足はかなりトースト状態で少し不快でした。
まとめ
市場に出回っている従来の登山靴に代わる軽量で高性能なシューズです。重い負荷がかかった装備を背負った場合でも、快適でサポート力があります。軽量でいて防水性の高いシューズはグリーンシーズンでの山歩きにおいて環境を選びません。
しかし、私たちにとって性能もさることながら、耐久性も大切なファクターです。軽量だからといって耐久性が低くては、安くないシューズを毎年買い換える状況に陥ってしまいますので、それは避けたいところです。
その耐久性については、このあともモニターしていずれご報告しようと思います。