カメラをアップデートする
「絶景を前にしたら、その風景を写真に残しておきたい」登山をされている大半の方は、私と同じ気持ちになるのではないでしょうか。ものすごい記憶力の持ち主で、何年立ってもその時の情景が寸分違わず思い浮かべることができれば、カメラなど必要はないかもしれませんが、人間は良いことも悪いことも忘れてしまう生き物です。
いままで山での撮影機材は、登山という行為が主体でしたので、撮影機器は登山の妨げにならない、小さくコンパクトなものが好ましいとの考えから、スマホやコンデジといったポケットサイズのものを携帯していました。
キャンプから登山に転向して4年目。ちょっと余裕も出来てきて、「写真撮影」にちょっとだけシフトしても良い時期かもしれません。とはいえ、登山といえば、上り坂を人力で登っていくものですので、余計なものは持たずに必要最低限の荷物だけで済ませたいので、そこから考えてみたいと思います。
センサーサイズから選ぶ
まず、カメラ選びについて、大きなセンサーサイズによる高い画質は、スマホやコンデジの性能が上がったとはいえ圧倒的な差があり、いま使っているのはSONYのRX100MK3のセンサーサイズは1型なので、それより大きなフルサイズかAPS-C、もしくはマイクロフォーサーズといったセンサーサイズが今回の候補となります。
そもそもカメラの心臓部ともいえるイメージセンサーにによる写りの差はどれくらい違うのか?という部分について詳しくは、WEB上で比較されている方がたくさんいるので、そちらを参考にしていただきたいと思いますが、簡単にいうと、センサーの大きなものはより多くの光を取り込むことができるので、白トビや黒つぶれが少なくなり階調豊かな表現が可能になりす。
早朝コントラストが少ない雪山での撮影だと、コンデジでは立体感がなくなりノイズが結構のってしまう。
たとえば、光の条件が良い場所ではスマホやコンデジでもきれいに撮影できますが、晴天で晴れ渡った空が真っ白になってしまったり、逆にマジックアワーと言われる、日没後、日の出前の時間帯に撮影すると、ノイズが乗ってしまったり、影になった部分が真っ黒といった、小さなセンサーサイズのデメリットが存在するので、美しい写真を撮影するためには、ある程度大きなセンサーサイズが必要だといえます。
センサーサイズの大きさは、こうした光の条件が悪い場所でもよく写せるといったメリットがありますが、しかし、センサーサイズが大きくなると、その分だけカメラやレンズのサイズも大きく「良い写り=重量増」となるので、自分が「写真を撮る」ことと「登山」の比重を、どちらに重きをおくかについてもカメラ選びにおいて充分考える必要があります。
コンデジでも、三脚を立てて絞りを開放すれば、これくらいは写せますが、影の部分はチョット潰れてしまいます。
プロの歩荷のように、20kg、30kgと担ぎ上げられる体力の持ち主ならば、迷わずフルサイズのミラーレスカメラを選択しますが、無尽蔵の体力は持ち合わせていないので悩ましいとこです。
また、もう一つの要素として、カメラだけでは撮影できないので、「レンズ」というファクターも同時に考えなくてはなりません。いろいろな場面を想定して何種類かレンズを持って行きたいとなると、「(カメラ+レンズの本数)=重量」が、装備品として加えられます。
登山時はなるべく楽に登れるよう、そのためには「荷物を軽くしたい」という、いつも葛藤が生まれます。
色々と思考を巡らせ、運搬能力には限界があるので、センサーサイズに制限をかけなくてはならないとの結論に達し、機動力のあるマイクロフォーサーズかAPS-Cサイズから選択することにしました。
となると、APS-CならSONY、マイクロフォーサーズだとPanasonicまで絞り込むことが出来ました。PENTAXやOLYMPUSは?と聞かれるかもしれませんね。登山をしていると結構見るメーカーですが、SONYはRX100で今まで使っていたので、操作の違和感ないだろうとの考えと、Panasonicは以前フィルムカメラ時代に、ライカのM3やバルナックを使っていたので、デジタル版のライカレンズを使ってみたいという理由が主です。
あと、The一眼レフって物物しいデザインよりも、ちょっと控えめなレンジファインダーっぽいデザインが好きなこともあります。(写真家アンリ・カルティエ・ブレッソンやロバート・キャパに対する憧れも)それに、一眼レフは、ちょっと威圧感みたいなものを感じ、カメラを向けられると、「オッ!!」って一瞬ひるんでしまいますよね。
さあ、ここからが悩ましい
センサーサイズで言えば、マイクロフォーサーズ < APS-Cとなるので、APS-Cに軍配が上がりますが、PanasonicのDC-GX7MK3は、どことなく以前使っていたライカのM3の面影があってデザイン的にすごく惹かれます。しかし、Panasonicの場合、自分の勝手な偏見から「カメラ事業の撤退」が、頭の隅から離れません。せっかく購入したのにメーカーがカメラを作らなくなってしまった!なんてことは避けたい状況です。また、SONYのα6000シリーズなら、仮にフルサイズに移行した時でも、同じEマウントレンズなので、そのまま受け継げるメリットがあります。となるとSONYになるのか…この時点では、まだ半々です。
レンズからカメラを選ぶ
別の角度からも検証しなくてはなりません。
そう、レンズです。自分がどの画角のレンズを使いたいか?どのレンズが登山のシーンにおいて使いやすいかという部分です。
登山系カメラの記事など読むと、お勧めとしてあげられているのが高倍率ズーム。確かに高倍率ズームは、一本で広角から望遠までカバーできて、稜線に出たときは広角でダイナミックに写したり、高山植物などを望遠でアップにして撮りたいと思った時も困りません。しかし、そこそこの値段で買えるズームレンズでは、開放f値が暗めなのが難点です。また、解放f値が通しでf2.8とか明るいレンズとなると、大きく重くなってしまいます。
だいたい悪天候の登山は稀だから、山に明るいレンズは要らないのでは?ということでもなく、樹林帯のなかだと日中でも暗かったり、テント泊で星空撮影などでは、暗いレンズだと話になりません。カメラとセットになっているズームレンズでは、望遠側ほど暗くなるので、ズームしてみたらシャッタースピードが稼げなくて手ブレが酷いなんてことも珍しくありません。
樹林帯の中は暗いので、明るいレンズがあるとシャッタースピードが稼げ手ブレせずに撮影できる
そもそも、自分の今までの撮影した写真に、望遠で撮影したものはどれくらいあるか?と思いパラパラっとみてみると、、、ほとんど無いことが発覚しました。そう、わたしに望遠レンズは必要なさそうです。広角から標準までのレンズがあればOKです。
登山で撮る写真は、ほとんど広角レンズでワイドに撮影していることが多い
そして、明るい広角寄りのズームレンズも色々と調べてみましたが、やはり、重いのが難点となり、カメラ本体自体センサーサイズを小さくして軽量化を目指しているところに、レンズが重くなってしまうのはナンセンスだといえるので、今回、最初の一本は、男なら割り切りの「広角単焦点レンズ」で勝負したいと思います!!
そんな感じで、候補を挙げていきます。
ソニー(SONY) α Eマウント用レンズ E 35mm F1.8 OSS SEL35F18
ボケを生かした表現が手軽に味わえる、APS-C用大口径単焦点レンズです。開放F値がF1.8と明るいのが特徴。とはいえ、フルサイズ換算だと52.5mmなので画角は標準。
ソニー(SONY) α Eマウント用レンズ FE 20mm F1.8 G SEL20F18G
超広角20mmと開放F値1.8の明るさを実現しながら、重さ約373g、全長84.7mmと軽量コンパクト。これはイイですね。
LEICA DG SUMMILUX 15mm / F1.7 ASPH.
ライカの厳しい光学基準をクリアした、柔らかいボケ味を楽しめる開放F1.7の単焦点レンズです。フルサイズ換算30mmは、風景やスナップでも使いやすそう。
で、色々と探しているうちに一つのキーワードが目に止まります。
「神レンズ」
「ZEISS Sonnar」の名を冠した、ソニーEマウントのAPS-Cセンサー用、広角単焦点レンズの「Sonnar T * 24mm F1.8 ZA」です。フィルター径49mmで225gと軽量コンパクトでいて、プラスチック製のボディーのレンズが多い中、高級感ある金属製のボディーで出来ているところも好感が持てます。プラスチック素材の汎用化からは、まだ60年ほどしか経っていませんので、数千年の付き合いがある金属製品に、どこか愛着が湧くのは人間の性といえるのかもしれません。
2011年12月発売とソニーEマウント用レンズとしては初期の製品ですが、このレンズのファンの方が非常に多いようで、酷評はほとんどない感じです。多くのレビューでは、「背景がとにかくぼける!そして美しい」と評価されています。また、スペックを見ると最短撮影距離が0.16mとなっているのでマクロ撮影にも使えるし、画角もフルサイズ換算35mmの広角レンズなので、風景写真にも非常に扱いやすいレンズといえます。一点だけ気になる部分は、手振れ補正がないとのことですが、明るいレンズなので、シャッタースピードを稼げるので、それほど問題は無いのではないかと思います。
「このレンズを使いたいっ!!」心は、もう決まりました。
このレンズに合わせてカメラ選びを進めていきます。